英EU離脱で中古業者警戒

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英EU離脱で中古業者警戒

2016年07月10日

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円高進行が業績に打撃

英国のEU離脱が決まったことを受け、外国為替相場は円高が一段と進行している。海外客との取引が多いリユース事業者等にその影響を聞いた。

英国のEU離脱決定で進む円高(7月4日時点)

英国のEU離脱で進む円高(7月4日時点)

円高の影響を最も受けているのが中古ブランド業界だ。「昨年後半から売上が前年同月比で2割以上減という状況が続いています」と中堅ブランド店のA社は話す。昨年の中国経済の減速から、円高に振れたことで海外輸出や訪日客向けの販売等では既に顕著に影響が出ている。そこに追い打ちをかけられた格好だ。

「これまで海外客を見過ぎていた。日本のお客へのアプローチを見直し、キメ細かくやっていく」と中堅企業B社の経営者は話す。また大手C社の経営者は「これを契機に寡占化が進むかもしれない」と予測する。相場が暴落すれば、在庫を利益を削られながら放出しなければならない。耐え切れず撤退する業者も出てくるという見立てだ。

家電等を中心に海外輸出を手掛ける浜屋は、「今以上に買取価格を下げるのは厳しい」と話す。資源価格が高騰しており中古品との価格差が縮まっているためだ。買取価格を下げた場合、取引先が中古でなく資源で売却し始める恐れがあるため、我慢の経営が続きそうだ。

また、古着をアジア圏に輸出するクロカワでは、円建てで取引していることから現状は影響ないと話す。ただ、1米ドル100円を割ると取引先から値下げ交渉が入るのではと言う。「こちらが厳しい場合は向こうが支えてくれるし、向こうが厳しい場合はこちらが支えてきた」(黒川芳秋社長)。そのため、応じられる範囲の中で価格交渉に応じていく考えと言う。

各社に為替の先行きについて聞いたところ、「全く分からない」との声が最も多かった。ただ、「現状は円安になる材料がない」(大手ブランド店D社幹部)と指摘する通り円安への期待感は薄い。現状では、今後の方針について定まっている企業は限られ、市場の成り行きを見定める企業が多いようだ。

395号(2016/07/10発行)1面

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