成長企業の戦略(4)エスビジョンエンタープライズ、人形1体でも出張買取
2017年01月19日
人形1体でも出張買取
富裕層との接点増やす
エスビジョンエンタープライズ (ブランド・家具・家電)
21%UP!!
中古売上3.7億円(2014年3月期)→4.5億円(2015年3月期)
総合買取ショップリサイクルマートを関西で4店舗運営する、エスビジョンエンタープライズ(大阪府堺市)。中古売上を3.7億円から4.5億円へ伸ばし、成長している。
同社が出張買取を強化したのは、アッパー層のお客を囲い込むためだ。
「うちの店は国道沿いと閑静な住宅街の店舗と2タイプありそこの客層を比べたときに、後者の富裕層にターゲットを絞ったほうがいいと確信したんです」(上野威リユース事業部部長)。立地に左右されない出張買取で、この層を獲得することにした。
同社の戦略はこうだ。まず出張買取の問い合わせがあれば、どんなものでも断らない。ダイニングテーブル1台、人形1体でもだ。
「例えば雛人形などは買い取ってもなかなか扱いが難しいのが本音。しかし雛人形があるお宅は、ある程度富裕層の家庭が多い。そこから次の商材に繋がる可能性もあるんです」
肝心なのは、お客宅での振る舞い。サービスで掃除をしたり、雑談にも積極的に付き合うようにスタッフには指示している。「『たとえ不成立でも最後お客様を笑顔にする』ということを常々言っているんです。今ダメでも関係を作ることが、この層には肝心です」
また、同時に行うのが友だちを紹介すると商品券をプレゼントするキャンペーン。しかしあくまで商品券は、会話の糸口に過ぎない。
「いろいろなお宅に伺って分かったのですが、富裕層はコミュニティで情報を交換し合っているんです。だから自然と『ご紹介したいんだけど...』とあちらから言ってくれますね」
これで以前まで月15件程度だった出張買取りを、70~80件に増やした。リピート率は、7割に上る。出張買取専門の部署も立ち上げ、現在も積極的に買い取っている。
「最初から良い商材、良いお客さんは手に入れることはできない。掘り起こす感覚で、目の前の人に気持ちよく帰ってもらう。その一つ一つが大事なんです」
自社デザインの目立つ看板で差別化を
堺三国ヶ丘店の様子
同社は他事業部で、看板などのデザインも行っている。そのため店舗の看板は自社でデザイン・施工しているのが特徴。競合の多いとある店舗では、「境から世界へ」をテーマに、地球をイメージした青色の看板にリニューアルした。「その他にも、大阪のマダムに来客してもらうには、ゼブラ柄やヒョウ柄が良いかも!なんて案もあったんですよ」。
自社の店舗看板が広告となり、リサイクルショップからの看板施工依頼も増えていると言う。
407号(2017/01/10発行)12-13面