カリフォルニアに子会社。チェーン展開始動 − ハードオフコーポレーション 山本善政社長

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「インタビュー」

カリフォルニアに子会社。チェーン展開始動 − ハードオフコーポレーション 山本善政社長

2017年09月05日

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Interview

米300店の布石、ハワイ店が好調

ハードオフコーポレーション(新潟県新発田市)がハワイに出店した海外1号店の調子がいい。現地での買い取りが波に乗り、早くも2号店3号店の出店が現実味を帯びてきた。同社はカリフォルニアにチェーン展開のための子会社と孫会社を設立。アメリカで300店の出店構想を掲げている。8月には、台湾にも子会社を設立する運びだ。山本善政社長に、海外展開の全貌、そして新たに掲げた「二刀流」のコンセプトについて聞く。

ハードオフコーポレーション 山本善政社長ハードオフコーポレーション 山本善政社長

−−5月12日にハワイに海外1号店を出店されました。10日間での売上げが520万円になったそうですね。

おかげさまで、すごく良かった。一番良かったのが、非常に順調に商品が集まったということです。我々の商売は買取りがいかにうまくいくかということでしょう。実はそれを心配して、日本からだいぶ商品を持っていってたんですよ。結論から言うと、持って行かなくてもよかった。倉庫を借りてオーバー分をためているくらいです。早く2号店3号店を出さないと。

−−向こうにもスリフトショップがありますが、なぜそんなに商品が集まったんでしょうか。

ガレージバーゲンで残ったものをドネーション(寄付)する文化がありますが、うちは一品一品査定して値段をつける。この日本風の査定がとてもいいと受け入れられました。一番の収穫がそれですよね。日本で普通にやっていることが、受け入れられたことで自信を持った。

今の苦労なんて苦労の内に入らない

−−8月に、カリフォルニアに子会社「エコタウンUSA」と孫会社の「エコタウンUSAフランチャイジング」を設立されました。海外での構想を改めて教えてください。

我々は数年前から2030年までに1500店という長期ビジョンを発表しています。日本は残念ながら少子高齢化で市場が縮小していくので、1200店くらいで出店は頭を打つでしょう。関西圏と首都圏にはまだまだ出せる所があるけど、地方に出店余地が既に無い所もある。成長するために、どうしても海外に200~300店出すことになる。

−−なぜアメリカに?

人口が日本の倍あって、GDPも3倍以上ある。ポテンシャルが少なく見ても3倍以上あるわけです。日本で1000店ということは、アメリカでは3000店できるという理屈です。その10分の1の300店というのは大した数ではない。

−−米中古市場に詳しいジャーナリストが、アメリカでは日本流のリユース店が広がるのは難しいのではとコメントしていました。日本ではお客と店の間に信頼関係があって、お客さんが「故障していない」と言えばほぼ故障していないけど、アメリカではそれは難しいだろうと。

そこがハードオフの強みである目利きなんです。売りにきたものを見て瞬時に故障しているかどうか見極めたり、直せるかどうかを判断する。電気店出身が多いというのもあって不思議とそういう人材が揃っていて。明文化されたものやマニュアルだけでなくハードオフ独特の見えないノウハウがある。

−−アメリカでやるとなると、また一からのスタートですね。

何でもやってみるまで分からないんですよ。例えば車椅子で通路を通れなかったらハワイではコンプライアンス違反になる。そういうことも含めて色んなことを学習していくわけです。今後も色々と苦労は予想されます。でも、平成5年にハードオフ1号店を創った時から考えると、今の苦労なんて苦労の内に入らない。

−−何が違いますか。

あの頃は、中古の店をやるというと、なんでそんな汚い仕事をやらないといけないんだ。頭が狂ったのかくらいのことを言われましたから。今は人材も集まってくるし、お金もあって教育にコストをかけられる。もう全然違う。それに苦労イコール参入障壁じゃないですか。高ければ高いほど私は燃える。超えた時にビジネスチャンスになるから。

日本のフランチャイジーも「米でやりたい」

−−アメリカ本土の1号店はいつ頃に。

物件が見つかり次第1年以内には。ハワイ1号店の3倍、300坪くらいの店をやりたい。場所はたぶんロスだと思います。カリフォルニア州の中である程度やっていきたい。

今、日本のフランチャイジーの一部からも「アメリカでやりたい」と言われています。もちろんいいわけです。安心して任せられるし、加盟企業の成長にもなるし。一緒に成長していきたいので門戸を開いている。ただその前に直営でバチッとやらないとね。無責任に案内はできないから。

ハードオフ前夜を感じる台湾へ

−−台湾にも子会社を設立すると発表されましたね。

エバーサミット社という向こうで製造業をやっている会社があるんですが、そこの会長が日本に何十回ときていて、その度にハードオフに来るそうなんです。どうしてもこれを台湾に広めたい、台湾の循環型社会に貢献したいという熱い気持ちを伝えられて。私も、いずれは出したいと思っていたんです。とても親日的な国だし、アジアの中では可処分所得が高くて商品の自給自足ができるでしょうし。

会社データ
ハードオフコーポレーション
本 社:新潟県新発田市新栄町3丁目1番13号
設 立:1972年7月
資本金:1676百万円
業 績:売上高(直営)182億円 経常利益(直営)16億円 チェーン店売上高(直営・FC)525億円
※2017年3月期、連結

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422号(2017/08/25発行)9面

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