《ブランド市場バイヤーに学べ39》質屋系とリサイクル系市場、あらためて違いを振り返る

検索

「ブランド市場バイヤー齋藤清の俺に学べ!!」

《ブランド市場バイヤーに学べ39》質屋系とリサイクル系市場、あらためて違いを振り返る

2017年12月07日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

《ブランド市場バイヤーに学べ》タイトルバナー

 第39回 系統の差は縮まり、参入ハードルも低く

古物市場は、会主や参加社の業態によって「質屋系」「リサイクル系」の2種類に分けて呼ばれることがあります。それぞれ扱う商材が大きく異なるというよりは、市場の成り立ちや参加条件などで区別される場合が多いようです。市場初心者の方からは、何が違うのかわからないといった声も時々耳にします。以前このコラムでもお伝えしたことがありますが、今回はあらためて、それぞれの市場の成り立ちについてお話します。

結論からいうと、今は質屋系市場もリサイクル系市場も、昔ほど差はなくなってきています近年、リサイクル系市場が全国で増えていることで、顧客獲得の競争が激化し、伝統ある質屋系市場もサービスの見直しを迫られつつあるからです。以前は「買い手さん優先」「売り手は出品物への指値NG(あるいは○点まで)」といったこともありましたが、今では少なくなっています。とはいえ「大手」と呼ばれるような市場は質屋系であることが多く、何も知らずに門を叩いても参加が難しいこともあります。それぞれの市場の成り立ちを知り、参加したい市場がどちらの系統か把握しておくことは大切だと思います。

そもそも古物市場は、小売店を持たない質屋が売り買いの場として作り上げたのが始まり。昔は小売店を持たず、BtoBの商いのみを専業としている質屋がほとんどでしたから、今以上に市場の需要が高かったのではないでしょうか。

しかし、売り手としては参加しやすいものの、買い手として参加するには一定の参加要件(既存会員の紹介必須など)が定められている場合がほとんど。地域によっては、古くからの業者同士のつながりや影響力が重視されることもあり、参入ハードルは高めでした。

"買いたいけど参加できない..." そうした人達の受け皿になったのが、山口県下関市の「monobankオークション下関交換会」や、近年急増している新興市場であることは以前にお伝えしました。当社がグローバルトレード社と共催しているRKグローバルオークションも、質屋業界とつながりが深い当社と、リサイクル系市場を運営していたグローバルトレード社で、広く門戸を開いた市場を立ち上げられないかと考えたのが始まりです。

先に述べたとおり現在は競争が激化し、質屋系もリサイクル系もサービスレベルを向上しながら売り手・買い手どちらも募っていますから、参入ハードルは低くなっていくでしょう。各市場で異なる参加要件や競りの方式なども、大手古物市場の会主が集う「オークション評議会」でルールの標準化に向けて日々議論を重ねています。これからも参加しやすく、より売り買いしやすい市場が増えていけばと思います。

一方で、最近はWebオークションも台頭してきています。会場に直接行くことなく下見から競りまで画面で参加でき、参加者の負担が激減することから非常に注目を集めていますね。私的には、市場特有の熱気による競り上がりといったライブ感がないのはちょっと寂しい気もしますが、今後のブームになっていく可能性もありそうです。

《ブランド市場バイヤーに学べ》齋藤清齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長

Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。

428号(2017/11/25発行)15面

Page top
閉じる