バイヤー道 ~私の買取接客術~

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バイヤー道 ~私の買取接客術~

2018年03月31日

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「ならば、売らない方がいい!」不安に寄り添う接客

ゲンキの平和堂が運営する、お酒買取専門店みっけ(東京都板橋区)。1日約10人を接客すると言う星野容浩店長は、ある日個人客から860万円で国産ウイスキー「イチローズ・モルト」を買い取った。10社以上の相見積りをかけられる中、星野店長が選ばれた理由は何だったのか?その買取接客テクニックについて聞いた。

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▲お酒買取専門店みっけのホームページ

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▲お酒買取専門店みっけ 星野容浩店長

9社に勝ち 860万円買取り

「寄り添っていただいたので、星野さんに決めました」

問い合わせを受けてから3ヵ月。1人の男性客からついに、ウイスキーを860万円で買い取ることに成功した。銘柄は国産の「イチローズ・モルト」。世界の品評会で受賞するなど注目を浴び、現在高騰しているウイスキーの1つだ。

男性客は埼玉在住で、年齢は50代半ばくらい。以前町の小さな酒店で、40万円くらいでそのお酒を買ったと言う。高騰していることを聞きつけ、10社以上に相見積りをかけた。みっけには最初、メ ールで問い合わせが入った。後に電話でのやりとりに変わり、多い時で週に2回、星野容浩店長は男性と会話をした。

「成約率を上げるにはメールより電話です。とにかく何が不安ですか?と何回も尋ねました。すると、大変高価だったこともあり、『モノだけ取られちゃうんじゃないか』っていう不安があったようです。買取店を利用するのも初めてのようだったので、まずは買取店の仕組みとか、買取りのフローを説明しました。あとはよその店 で、『早く売ってほしい』とか『いついつまでに売らないと金額が下がる』とかしつこく言われ、不安があったようです。お店それぞれのスタイルがありますが、それを聞いて私がお客様に言ったことは、『思い入れがあるなら、売らない方がいい』だったんです。その言葉が心に響いたのか、その後しっかりと考えてくださり、最終的に当店よりも10万〜20万円高い所もあったようですが、そちらを蹴って、うちに決めてくれました」(星野店長)。


経緯と意図を共有

星野店長曰く、買取りで大切なのは信頼。それを築いていくには、お客がどういう経緯でモノを入手し、どういう意図で買取りに出そうとしているかを共有すること。その中で不安を聞き出し、ときに「ならば、売らない方がいい」とはっきり伝えられることが、信頼を深め、成約に結びつくと言う。

第436号(2018/03/25発行)11面

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