毎月1万6000本の帯をアップ インフラ活かし店舗でネット販売

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毎月1万6000本の帯をアップ インフラ活かし店舗でネット販売

2018年04月09日

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第211回 二刀流に挑戦!

毎月1万6000本の帯をアップ インフラ活かし店舗でネット販売

海の向こうに渡った大谷翔平のロサンゼルス・エンジェルスのオープン戦での活躍が、毎日のようにニュースになっている。日本ハムで二刀流として大活躍した若者が、アメリカでもツーウェイプレーヤーとしてメジャーデビューしようとしている。

テレビ番組「サンデーモーニング」のスポーツコメンテーターで元プロ野球プレーヤーの張本勲さんが繰り返し〝プロ野球界では二刀流は通用しない。早くピッチャー一本で行くべき〟と大谷翔平さんに苦言を呈していた。しかし彼は自分のやり方を貫き通し、結果を出した。更に、メジャーリーグでも前人未踏のツーウェイプレーヤーに挑戦している。彼は従来の概念を根底から覆えす事に挑戦をし、既に大きな成果を掴み取っている。

ネットからの集客徐々に効果発揮

過日、経営者の雑誌でハードオフの山本社長が、これからハードオフは二刀流でいくと書かれているのを読んで、我が意を得たりと思った。山本社長のおっしゃっている二刀流は、当然ながらリアル店舗とネット販売のことである。


たんす屋は、常々4つの時代をリードすると言っているが、その3番目が「ネットの時代をリードする」である。しかし残念ながら、このネットの時代はリードされているのが現状である。
 
現在、O to O(オンラインツーオフライン)の実績は、上がりつつある。具体的には、本部催事や百貨店催事に、ネット上からお客様を会場にお呼びすることは、徐々に効果を発揮している。し かしネット販売に関しては、ずっと以前にたんす屋楽天市場店をオープンして数年間挑戦してきたが、結果的に成果を出せずに閉店を余儀なくされた。

最近、日経新聞で読んだ記事に2016年のデータだが衣料品の年間売上が約14兆円、その内ネット経由の売上が10・9%で、1兆5260億円と言うものがあった。その後も確実にネット経由の売上は伸びているだろう。2018年は、この比率が13%程度に急伸するかもしれない。 更に近い将来、これが30%になったとしてもなんの不思議もない。それぐらいの勢いで、 時代は変化していく。

我々は〝時代の変化を成長のエンジンにする〟と決めている。そうであるならば、早急にこの大きな変化をたんす屋の成長のエンジンにしていかねばならない。

楽天市場店の失敗原因は本部運営

そこで、具体的にどの様な施策でたんす屋が二刀流になれるのかを社内で検討した。色々と検討して、前回のたんす屋楽天市場店の失敗の最大の理由は、本部で本部の人間が、本部の在庫を使ってやった事にあると結論づけた。つまり、たんす屋が全国に120数店舗のリアル店舗を構え、そこに在庫投資をして、人材も配置しているのに、それと別個に本部でやった為に、リアル店舗がある強味を全く活かせなかったことが敗因だったと思った。

そこで今回目指すべき二刀流とは、リアルの店舗でネット販売も兼業することだと考えた。それでこそ、在庫と人材とネット販売のインフラが活かせる様になる。

先ずは、ネット販売のサイト選びから考えた。コストが低く、すぐに始められるので、ヤフオク!ストアに決めた。将来的には楽天や自社サイトもありだと思うが、先ずはここからスタートである。

次に、たんす屋の強味はプロのコーディネート力だと思い、各店舗スタッフに着物・帯・帯締・帯揚のフルコーディネートを載せる様に指示したが、なかなか進まない。本部のたんす屋塾で、店長と店舗スタッフに教育し、更に専用のコーチと店舗のSV(スーパーバイザー)に店舗まで教えに行かすのだが、やはりハードルが高いようである。

そこで急遽変更して、先ずは帯だけを載せる様に指示した。実際すぐに店舗でヤフオク!ストアをスタートできるのは約90店舗だ。その90店舗に5000円以上の名古屋帯と袋帯を約1万6000本、在庫として投入されている。1店舗で毎日平均3人のスタッフが帯を2本ずつヤフオク!に掲載することができれば、90店舗で1日540本の帯がアップされ、1ヵ月で店舗にある全ての帯がアップできる計算である。実験段階では、ヤフオク!ストアにアップした商品の8・5%が1ヵ月以内に売れているので、計算上は1377本の帯がネット上で売れる事になる。

先ずは、着物と比較して寸法問題が無くて掲載が簡単な帯からスタートし、店舗スタッフが慣れてくるにしたがって着物・帯・帯締・帯揚のトータルコーディネートを載せる様にしていく。

更にスタートに勢いを付ける為、新品の帯締と帯揚のプレゼント企画も検討している。5000円~1万円の帯をお買上のお客様には、コーデした帯締か帯揚のいずれか、また1万5000円以上の場合は、その両方をプレゼントするキャンペーンを実施する予定である。

先ずは、90店舗で帯に特化したヤフオク!ストアで、二刀流デビューを果たしたいと考えているが、いかがだろうか。

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▲「草花芽吹き 心弾む春の訪れに お出かけコーデ このセット」 上記、コーディネートとワンコメント、天王寺ミオ店、店長・尾崎史奈

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▲東京山喜(店名・たんす屋)中村 健一 社長
1954年9月京都生まれ。77年カリフォルニア州立大学ロングビーチ校留学、79年慶応義塾大学卒業。同年東京山喜入社、87年取締役京都支店長、91年常務、93年社長に就任、今に至る。

第436号(2018/03/25発行)18面

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