日本ブランド品鑑定協会、おお蔵社長 古賀清彦氏インタビュー

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日本ブランド品鑑定協会、おお蔵社長 古賀清彦氏インタビュー

2018年06月27日

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「100%的中せずとも真贋をやる意味はある」
日本ブランド品鑑定協会インタビュー

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中古品業界を悩ませる偽ブランド品。鑑定技術を磨いても偽造技術も向上していくためいたちごっこが続いている。そんな中最新技術を用い、一般消費者も利用可能な真贋鑑定を提供するのが日本ブランド品鑑定協会(JBIAA)だ。今回はその取り組みについて、JBIAAの運営窓口となっている、おお蔵の社長である古賀清彦氏に話を聞いた。 
JBIAA公式サイトはこちら http://www.jbiaa.org/



様々な手法で真贋鑑定 ハイブランド以外の鑑定需要も

‐設立の経緯はどうだったのでしょうか。

古賀
佐賀県で化粧品の成分分析をやっているブルームさんでした。他にも成分分析の技術を応用できないかということでブランド品の真贋をやろうとしていた。そこで銀行を通じて探していて我々おお蔵にたどり着いた。
そこで一緒にやろうということでJBIAAを設立しました。実は当初Bに対してのサービスにしようとしたのですが、結局今はC向けが9割以上を占めてますね。メルカリで購入したものや、もらい物で本物か不安になってというケースが多いようです。

‐成分分析技術と、鑑定の組み合わせということですか。

古賀
はい。ステンレスが使われているものについては、金属の成分分析で本物と比較します。データベース化した過去のおお蔵の在庫、数万点のデータと比較します。年代やシリーズによって材質が違うんですよ。加えて、バイヤーの審美眼、時計の振動数チェッカーも組み合わせています。成分判定をして本物と一致したものについては鑑定書を発行しています。バックなどでも金具で判定ができます。それ以外の物も審美眼で判断する場合もありますが、その場合鑑定書はお出ししていません。また、成分判定ができる材質の物でも、データ不足などで鑑定書をお出しできない場合もあります。
問い合わせとしては月50件ほど。鑑定を受けるのは平均すると月30件ほどで、一件1~3点だと考えると月100点ほどになります。年にすると1200点ほどになりますかね。当初から言えば年50件ほど鑑定の点数が増えています。


‐鑑定書も出すのですね。他の団体では鑑定書の独り歩きを懸念して鑑定書を一般的には出していませんよね。本物に出した鑑定書が、偽物につけられて販売されるなどの不正利用への対策はどうされているのでしょう。

古賀
高級な時計などについては、シリアルナンバーがある物が多いためそこまで心配していません。ちなみにですが、偽造品にはシリアルナンバーが全て同じというものも多く、これだけで判断がつくこともあります。バックなどについてはシリアルナンバーがないためその懸念はあります。

‐鑑定に持ち込まれる商品としてはどのようなものが多いでしょう。

古賀
問い合わせの段階ではアパレルも多いです。シャネルなどのハイブランドだけではなく普通のブランドも問い合わせがありますがハイブランド以外は基本的にお断りしています。実際に持ち込まれるのは時計が半分以上、次にバックではないでしょうか。最近ではダニエルウェリントンなど中古で5000円程度の時計も持ち込まれます。ですが、やはり多いのはオメガカルティエウブロなどの高級時計です。

完璧でなくても鑑定の意味ある

‐審美眼だけの鑑定で鑑定書を出すのは難しいものでしょうか。

古賀
非常に精巧な偽造品、いわゆるスーパーコピーみたいなものだと私たちがルーペで見ても「おや?」というものもあります。なので審美眼だけでは鑑定書は出していません。あくまで当社の基準として純正品に準ずるものだと判断した旨を書面で伝えるにとどめています。 

‐最新技術も合わせると鑑定は100%当てられるものなのですか。

古賀
やはり100%とは言い切れません。なので、国などの公的な機関などで大々的に行う場合などは厳しいかもしれない。民間の一機関だからこそできている部分が大きい。ただし、今のところ鑑定ミスでのトラブルといった事態には至っていません。

‐それでも鑑定を行う理由はなんでしょう。

古賀
例えば9割で当たるならそれなりに確率は高い。先日、日本に上陸したエントルピーさんのAI判定もそうですが100%でなければ使わないというのは違うと思う。100%とは言えなくてもある程度偽造品を排除できるなら使っていく、やっていく意味はあると考えています。

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