ドライバーと消費者をマッチング 「軽貨物版Uber」で物流問題解決

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ドライバーと消費者をマッチング 「軽貨物版Uber」で物流問題解決

2018年07月05日

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CBcloud

ドライバーと消費者をマッチング
「軽貨物版Uber」で物流問題解決

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昨年末の宅配便再送問題などで注目が集まる物流業界。
そんな中、荷物を送りたいユーザーとドライバーを直接つなげるシェアリングエコノミーサービスが登場している。
その1つが、「軽貨物版Uber」とも言われるPickGoを展開し、物流改革に取り組むCBcloud(東京都千代田区)。
取締役CSO(最高戦略責任者)の皆川拓也氏にサービスの特徴と、物流業界の問題点について聞いた。

依頼から1分31秒で成立

ーまず最初に、CBcloudが提供する「PickGo」とはどういったサービスなのでしょう。

軽貨物事業者、つまり軽貨物自動車で荷物を運ぶ個人事業主のドライバーと荷主の方を直接つなぐサービスなんですね。いまは法人向け、一般の方向けの両方にサービス提供しています。法人向けの使い方は、緊急で荷物を運ぶ時や、曜日や時間が決まった定期配送、荷物の集荷で利用することができる。
利用方法は、まず荷物を送りたい荷主さんが、PickGoのウェブサイトから集荷の日時や場所、配送先を指定して依頼を出します。そうするとスマホのアプリに登録している5000人を超えるドライバーさんに通知が届く。その中から荷主さんがドライバーさんを選んで、マッチング成立となります。配送先についてはあらかじめGoogleマップを使って指定します。

ー新しいサービスだけに、マッチング率やマッチングまでの時間が気になります。

マッチング率は99.2%で、緊急の依頼でも配送可能なドライバーをすぐに見つけることができます。
時間は依頼をかけてから、ドライバーさんから「俺やります」と言ったエントリーがあるまで平均1分31秒。依頼をかけてからドライバーさんが集荷に来るまでが1時間ぐらい。

ー同様の貨物マッチングサービスとの違いは何でしょう。
 
ドライバーさんは、運送会社ではなく個人事業主のドライバーしか登録ができないということですね。そのため物流業界で起きている多重構造が発生せず、早いマッチングが実現します。
今は5000人を超えるドライバーさんに登録していただいて、月200~300人のペースで増え続けてます。

アナログな多重構造を変える

ーそもそもなぜこのようなサービスを始めようと思ったんですか。

軽貨物業界って多重構造なんですよ。物流業界で言うと皆さんが知っているようなヤマト佐川日本通運といった大手の経済規模は2.6兆円。それに対して6万3000社以上の中小企業の経済規模は14.3兆円以上もあるんです。実はこのような中小企業が、日本の物流を支えている。しかし実態としては一次請けである大手が依頼された荷物を、5次・6次請け業者が運んでおり、ドライバーは低賃金、かつ自発的に働くことができない劣悪な環境にいる。ここを何とかしたいんです。

ー多重構造の弊害とは。

この多重構造ってご想像通りすごいアナログなんですよ。消費者の側からすると、大手に運べるか聞きますよね。そうしたら大手はその後何本も電話やFAXを使って運べる人を探します。もちろん時間もかかるし、結局誰が運べるのかわからない時もある。
また荷物の量が多い時にトラックが見つからないと困るから、必要な最大数のトラックを確保しています。そうすると荷物が少ない日はトラックが何台も遊んでしまう。これってはっきり言って無駄ですよ。ドライバーさんからすれば中抜き業者が大量にいるせいで低賃金かつ、仕事を自由に選ぶことができない。その結果、ドライバーを目指す人が減り人手不足が起きている。

ーPickGoでこれがどのように解決するのですか。
 
僕らは物流業界のITを使って効率化と見える化を進めています。これはドライバーさんにも荷主さんにもメリットがある。荷主さんからすると電話をかけまくるような裏のごちゃごちゃしたことがないので早い。しかも荷物がどこにあるのかGPSを使ってマップで追えるし、依頼時にマップ上で距離計算して運賃が決まるので明朗会計。
ドライバーさんにはしっかりと適正な賃金を支払うことができる。支払いスピードについても多重構造だと賃料が払われるのが2カ月後だったりすることもあるんです。これが僕らのプラットフォームだと最短即日支払われます。

「安かろう悪かろう」にしたくない

ーそう考えると、PickGoの果たす役割は小さくないように思えます。

ドライバーさんの待遇改善を目的にサービスを立ち上げているが、ドライバーさん・荷主さん双方にメリットを提供できている。特に荷主さん側から見ると物流コストの削減は大きいと思っています。これまでは運ぶものが出るたびに個別依頼するとなかなかドライバーが捕まらないので、無駄に多くトラックを抱える必要があった。そこで素早いレスポンスで確実に車両を手配できるPickGoを利用することで、必要な時に必要な台数分だけ依頼することができる。ここのところをコストカットできると思っています。つまりは物流を最適化できるわけです。コストがちょっとさがり手間が大幅に下がります。

ー配車サービスのUberのように価格もやはり安いのでしょうか。

たしかに多くのシェアリングエコノミー系のサービスは安いと謳っています。ただ、僕らは安いとは言いたくない。ドライバーさんへの賃金はしっかりと支払うことで、意識も大きく変わるだろうし、雑な仕事にはならないので安心と言っています。安かろう悪かろうにはしたくない、配送品質を上げていきたいんです。

ーPickGoが目指すものはなんでしょうか。

ドライバーさんの報酬や選択肢を増やして良いサイクルを回していく。好きな仕事で報酬が上がれば仕事のモチベーションも上がるというサイクル。そうすることでドライバーを志す人が増えると考えています。だからドライバーさんからも荷主さんからも運送業者は排除して個人同士をつなぐことを重視しています。個人でやられているプロのドライバーさんのみが登録しています。僕らが知らず知らずに2次請け・3次請けにならないための工夫です。そうやって物流業界の多重構造を改革していきたい。

(会社紹介)
「軽貨物版Uber」とも呼ばれるサービス"PickGo"を運営する。"PickGo"はプロの運送ドライバーと荷主を直接つなぐマッチングサービス。2016年にビジネス向けのサービス"軽town"としてリリースされた。2017年に名称を現在の"PickGo"に変更、個人向けのプラットフォームもサービスを開始した。資本金は4億2300万円。



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