質店の質預かりがコロナ禍前の水準に

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質店の質預かりがコロナ禍前の水準に

2023年09月12日

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「ゼロゼロ融資」の影響で大量の質草が請け出された質店にお客が戻っている。なかにはコロナ禍前の質残高を超えた店もある。2021年から公庫の返済が始まり、今年、来年と民間金融機関の返済もピークを迎えるなか、資金繰りに窮する中小企業や個人事業主が増えているのが要因と思われる。大口融資を手がける質店の社長に話を聞いた。

ゼロゼロ融資返済で大口融資が増える

どん底の20年からお客が戻ってきた

22年3月からゼロゼロ融資利用後の倒産企業が急増している22年3月からゼロゼロ融資利用後の倒産企業が急増している

政府がコロナ禍で売り上げが急減した中小企業を支援しようと、2020年3月に始めた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」。その貸出総額は56兆円を超えた。そのお陰でコロナ禍だった21年の倒産件数は年間5916件で、半世紀ぶりの歴史的低水準を記録した。ゼロゼロ融資が元々業績の悪かった企業の命綱となったからだ。その影響を受け、20年夏頃から約1年近く、全国の質店から大量の質草が請け出された。

神奈川県横浜市の繁華街に店を構えるA質店では質草が2割8分減り、経営に大きな打撃を受けた。A質店の顧客は外国人を含め、飲食店や水商売など、何かしら事業を営む中小企業の経営者が多い。金利ゼロの融資が最大6000万円まで受けられ、質店に高い金利を払う続ける必要がなくなったからだ。質請けされると、その時は元金と利息が入るが、継続的な収入がなくなってしまう。例えて言うなら、所有するアパートの入居者が敷金を払って3割退去してしまうようなものだ。その時の心境をK社長はこう述懐する。

「スタッフや番頭には『3年我慢しよう。コロナが収束すればお客様も戻ってくるだろうから、耐えぬこう』と話したが、内心これはキツイ。質屋業、終わったなと思った」

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第567号(2023/09/10発行)19面

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