お直しのビック・ママ、なぜ年商16億円まで成長したのか

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「聞きドキ! インタビュー」

お直しのビック・ママ、なぜ年商16億円まで成長したのか

2017年05月09日

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全国73店舗、海外に8店舗洋服のお直し専門店を展開するビック・ママ(宮城県仙台市)。ズボンの裾上げや、ほつれの直しなど、「気軽に入れるお直し店」として女性客中心に需要を集め、年商は16億円にのぼる。国内外で日本のお直しを広める守井嘉朗代表に、ビック・ママの戦略を聞いた。

ビック・ママ 守井嘉朗代表お直しのビック・ママ 守井嘉朗代表

―まずビック・ママの事業内容について教えてください。

洋服修理専門店「ビック・ママ」を国内73店舗、海外で8店舗運営しています。裾上げやニットのお直しが人気で価格は1000円程度で可能です。個人のお客様が9割以上で、女性が7割以上を占めます。ターゲットとしているのは、お洒落に特別こだわりの無い人。お洒落に敏感な富裕層にターゲットを絞り展開する同業者が比較的多いのですが、私はそのニッチなところを責めるより、マーケットも大きいいわゆる普通の人の、気軽なお直しにスポットを当てました。

―店舗の大半がルミネやアトレなど商業施設内や、一等地に立地していますね。出店戦略を教えてください。

はい、この出店スタイルが当社の強みの一つだと思っています。店舗面積を限界まで小さくし賃料を抑え、渋谷や吉祥寺などの商業施設内という好立地に出店してきました。大体1店舗あたり平均4坪で、スタッフ2・5人、1人体制のときもあります。モデルとしては1店舗月商140万円程なので、賃料は25万円以内に抑えています。このような出店スタイルで、ピーク時は年12〜15店舗ずつ拡大してきました。

―そのような少人数体制で、オペレーションはどうしているのですか。

基本的にすぐできる簡単な裾上げや、修理は店内で行い、それ以上の複雑な作業を要するものは全て本社のある仙台の工場に送り、作業を行います。もともと当社は父の代から、スーパーなどのバックヤードで法人向けに洋服のお直しサービスを行っており、そのための工場、設備、技術者を確保できていました。

店舗には基本的に扉を設置せず、明るいカウンター式を採用店舗には基本的に扉を設置せず、明るいカウンター式を採用。入りやすさを意識

―海外展開もされていますね。

3年前から海外にも展開しており、現在シンガポールに7店舗とベトナムに1店舗出店しています。高島屋や現地のショッピングモール内にあり、駐在している日本人や欧米人など外国の方の利用が多いですね。両国とも洋服のお直しの文化があり、個人店も含め現地の競合店と戦っていかなければなりません。

―どのような施策をうちだしていますか。

シンガポールの場合は、「日本の質の良いお直し」だけでは戦っていけないと方向転換し、現地のクリーニング会社を買収。お直しとクリーニングを提供する業態に生まれ変わり、差別化を図っています。しかし実はまだ、年間2000万円の赤字なんです。

―なにか打開策はあるんですか。

はい、コスト削減です。というのも海外出店する企業さん皆悩むと思うのですが、コンサルや会計士など、最初はどうしても日系企業に頼ってしまいがちです。しかしそれでは余分にコストもかかります。現地企業やスタッフなどを利用していく方針に転換し、現在整備中です。そこがクリアできれば、赤字分も黒字変換できると考えています。

お直しのビック・ママ 守井嘉朗代表 Profile
1969年(昭和44年)仙台生まれ。学生の頃から独立志向が強く、25歳で家業を継承。衣料品のお直しに加え、バッグ・靴・アクセサリーの修理やクリーニング・衣類買取等、サービス項目を増やし、「お直しコンシェルジュ」としてブランドを確立。現在国内外で81店舗を展開。技術者のほとんどが女性のため、「女性の働きやすい職場」を目標に様々な雇用形態を設けている。また、従業員だけでなく、地域の働く女性も利用できる保育園を4園開園。さらに技術者育成の一環として障害者雇用も開始。障害があっても「できる部分」で協力してもらうことで、仕事が円滑に進むことを実感している。

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414号(2017/04/25発行)20面

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