《骨董買取の技法9》アールデコや絵皿に高値

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「骨董品買取の技法」

《骨董買取の技法9》アールデコや絵皿に高値

2016年03月10日

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骨董買取の技法 タイトル

骨董買取の技法 第9回

オールドノリタケ売れ筋5

私は、31歳まで食品メーカーの会社員をしていました。「どうして、この業界に入ったのですか」とよく質問されるのですが、実は学生時代に国史を専攻し、『江戸時代』を研究していたのです。若い頃から古いものに興味があり、会社員時代も頻繁に骨董市などを歩いていました。

オールド大倉の犬の置物オールド大倉の犬の置物

とある冬、世田谷のボロ市をぶらぶらしていると、『オールドノリタケ』という言葉が目に入りました。店主に色々説明を受けていると、興味が湧き、気づくと数年後それらを商っていました。よく品物のあるアメリカに買い付けに行ったものです。今回は、オールドノリタケを中心とした戦前の洋食器のお話しをします。

オールドノリタケは、ノリタケ社(以前は、森村組、日本陶器合名会社)が製造した戦前の同社の製品です。今、買取ででてくるオールドノリタケは、『日本の家に伝世したもの』『アメリカなど海外から里帰りしたもの』の2系統に分かれます。そして売れ筋は、①アールデコなどのデザインの良い食器類(普通のデザインの食器はあまり売れない) ②ボーンチャイナの置物や食器(金魚や鶴などが有名。置物は戦後の物でも売れる) ③手描きの絵皿や花瓶(絵付師のサインのあるものもある) ④電傘や火鉢⑤アールデコデザインの雑器など(里帰り品に多い)

ノリタケの場合、高級品ではないので、古い家には結構眠っています。国内は、裏印がヤジロベー印、輸出品はM印(森村のM)が多いです。

ノリタケの高級ラインが大倉陶園です。今でこそ大衆的なメーカーですが、戦前の大倉陶園は、皇室、貴族、事業家などの富裕層の家にしかない高級メーカーでした。私も何回か、オールド大倉の買取をしましたが、「銀行をもっていた家」、「Y市のフィクサー」、「京都の旧家」など凄い家ばかりでした。そういった家からは、必ずセットが出て来ます。

オールドと現在の裏印は似ていますが、何ヵ所かポイントを覚えれば、対応できます。

オールド大倉の見分け方

①創業年である『1919』の金色のシールが貼ってある。
②1934年までは、OACの下に年号が入る。
③1935~1945年までは年号はないが、Aの横線が傾いている。

大倉1934年の裏印シール付大倉1934年の裏印シール付

ノリタケ同様、オールド大倉も普通の食器はあまり売れません。花などが描かれたりする食器、アールデコデザインの食器などは人気があり高価です。また、「彫刻」とよばれる置物類もそれなりに売れます。置物は、色々な犬が造られています。ちなみに猫はみたことありませんね。

その他、鳥、狐、馬、鹿など。変わったところでは、兵隊の像や、ピエロの像など。彩色のあるものは、淡い色が多く非常に上品です。また、白磁の作品もあります。洋食器や陶磁器の置物は、海外メーカーに目が行きがちですが、是非、日本のメーカーも気にかけてあげて下さい。

藤生 洋藤生 洋

<プロフィール>
昭和42年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、ロッテの財務部で勤務。サラリーマン時代から骨董市に通う。歴史好きが高じて平成11年、31歳で起業。ネットオークションや骨董市で骨董品の販売をはじめる。平成13年には「(有)北山美術」に改称。平成24年には骨董の業者間オークション「弥生会」を3社共同で立ち上げ、会員数200社の規模に拡大する。現在は店舗と事務所を東京・千葉・札幌に展開している。骨董店での修行無しに独自に事業を軌道に乗せた手腕が話題になり、 2冊の著書を上梓。

387号(2016/03/10発行)3面

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