《骨董買取の技法5》「延べ会」の市はコネ無し入会困難

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《骨董買取の技法5》「延べ会」の市はコネ無し入会困難

2015年11月10日

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骨董買取の技法 第5回

現金会なら参加しやすい

今回は、買い取った骨董品をどのように換金すればいいかということについてお話します。

古物商を業としている方は、様々な売り先をお持ちだと思います。店舗での小売り、ヤフオクなどでのネット売り。そして、古物市場。我々骨董も、ほとんど同じです。

骨董品の市場には皆様どのような印象を持っているでしょうか?多くの方から、敷居が高そうという印象を伺います。

弥生会の市場の一幕弥生会の市場の一幕

そこで実際にどんな場所なのか、説明したいと思います。まずリサイクル市場の多くは入会金が必要なようですが、骨董品の市場では入会金をとるところは稀です。

市場の種類には「現金会」と「延べ会」という2つのタイプがあります。現金会は、当日売買の決済を終わらせる――つまり、買った人はその日に支払をし、売った人はその日に現金で売上金をもらう市場です。

一方延べ会というのは、売った人は小切手をもらうか、後日の振込になります。買った人は、1カ月後に支払います。商品は当日、買い手が持ち帰りできます。当然、「後払いだと、買った人が商品だけ持って支払いをせず逃げたらどうするのか?」という疑問が湧いてくると思います。ですから、延べ会を採用する交換会は、会員に『組』(だいたい5人ぐらい) を作らせます。会員相互で連帯保証を求めるのです。組の誰かが100万円払えなかったら、それを残り4人で、25万円ずつ会へ支払いをする仕組みです。

延べ会の多くは、入会条件が厳しいです。例えば上層の「東京美術倶楽部」では、毎日のように市場(交換会) が開催されていますが、「二代目」とか「美術倶楽部員の店で修業した方」、「何らかのコネがある方」以外の業者が入会するには、大変なハードルがあります。そう、最初の敷居が高いというイメージはこの辺りからきているのかもしれません。

最後に市場の売上(出来高) 規模ですが、美術倶楽部で行われる交換会の大会となると、2日で10億円規模の会もあります。これらは別格として、一般的には売上の多い会で、一回5000万円~1億円以上(A)、その下で1000~5000万円(B)。そして1000万円以下(C)。このような区分けで、ほとんどがCに属すると思います。ABランクの市場は、そのほとんどが、大都市圏にしかありません。しかし、Aランクの市場がどんな物でも一番高いかというとそうではありません。Aで1000円だったものがCで5000円なんて日常茶飯事です。やはり市場の選択が非常に重要になります。

さて、延べ会を行っている交換会に参加するのはかなりハードルが高いですが、現金会は比較的、入りやすいです。特に現在は品不足なので売りたいと話をすれば、結構すんなり入会できると思います。私も、上野で弥生会という骨董品・美術品の市場を3社で経営しております。我が弥生会は、今の所は売り手も買い手も基本的にウエルカムです。

藤生 洋藤生 洋

<プロフィール>
昭和42年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、ロッテの財務部で勤務。サラリーマン時代から骨董市に通う。歴史好きが高じて平成11年、31歳で起業。ネットオークションや骨董市で骨董品の販売をはじめる。平成13年には「(有)北山美術」に改称。平成24年には骨董の業者間オークション「弥生会」を3社共同で立ち上げ、会員数200社の規模に拡大する。現在は店舗と事務所を東京・千葉・札幌に展開している。骨董店での修行無しに独自に事業を軌道に乗せた手腕が話題になり、 2冊の著書を上梓。

379号(2015/11/10発行)3面

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