専門市場で相場感養う
古美術 成蹊堂(東京都杉並区)では、平安~江戸期の日本刀や刀装具の買取り・販売を行っている。特に平安〜南北朝時代の刀を強みとし、数百万円程の価格で店頭とネットで販売している。
代表の松川浩一郎氏は刀専門の古物市場に参加し、月100本以上刀を競る現場を見て、相場感覚を養っている。買取依頼は月に数件と言うが、出張買取では1回に計30〜40点の刀や刀装具を査定することもある。
成蹊堂(東京都杉並区)
松川浩一郎氏
査定する前に大切なのは〝疑う〟こと。
「良い物だと思い込まないこと。絶対に何かあると思って、査定を始めます」(松川代表)。
特に日本刀には、隠れた傷が付いている物や、偽物が多く出回っている。どこに不安要素があるかはわからない。
Point1
査定する前に必ず疑いの意識を持つ。
査定する前に必ず疑いの意識を持つ。
査定は1点1分。
刃切れを要チェック
査定時間は1点につき約1分。刀の査定で重要なのは〝刃切れ〟が起きてないかを確認すること。
「例えば、薄い紙1枚を破り、それを元に戻そうとくっ付けると、破れた箇所の表裏に線が残ります。そういう現象が刀にも起きるんです。それが刃切れです」(松川代表)。
刃切れを肉眼で見つけるのは難しいので、明るい所で刀先を天に斜めに刺すようにし、柄の部分から斜め上に見上げるようにする。経験値も必要だが、それで刃切れを確認することができる。刃切れのある刀は、次に何かを切った時に刃自体が割れてしまう恐れがある。それがあるだけでも価値は5分の1以下になってしまうと言う。
また、刀には鑑定書が一緒に付いている場合がほとんどで、それと刀の状態を照らし合わせて確認する。刀もそうだが、鑑定書自体が偽物の場合もあるので、入念に確認する。
429号(2017/12/10発行)9面