「夜が明けてきた感触がある」− キングファミリー(Kurokawa) 黒川芳秋 社長

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「夜が明けてきた感触がある」− キングファミリー(Kurokawa) 黒川芳秋 社長

2017年12月19日

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Interview

「キングファミリー」と「ちゃくちゃくちゃく」の屋号で国内に直営・FC店含め約100店舗の古着店を展開するクロカワ(兵庫県高砂市)。昨年はカンボジアに進出し、現在は現地で古着店「コギファクトリー」を2店運営している。同社の黒川芳秋社長に2017年の振り返りと、来年の展望を語ってもらった。

キングファミリー(Kurokawa) 黒川芳秋社長キングファミリー(Kurokawa) 黒川芳秋 社長

〝セントラルキッチン〟で効率化を図る

――今年はどんな1年でしたか?

業界全体に言えることですが、なかなか厳しい1年でした。理由は買取りが少なかったことと、海外が厳しかったこと。まず買取りについてですが、5〜6年ごとに物量が増えたり減ったりするのですが、その底にあたりました。この前株価と並べてみたら、上がり下がりの波が半年ずれくらいでリンクしていました。この周期は景気の流れがちょっと影響している感じがあります。

――やはり古着も、景気が良くて買替えが促進された方がいいものですか。キングファミリーは取扱う商品が低価格なので、不景気に強い印象があるのですが。

取扱う商品単価が400円なので、確かに売りは不景気でもかまいません。しかし、物が無いと商売が成り立たないですから。

――市場に物量が無い中でも、買取りを増やしていく必要があったと思いますが、何か打つ手はありますか?

当社の商品調達はほぼ店頭買取で、全体の9割は消費者から調達しています。しかし店舗に負荷をかけても仕方ないので、外からの調達を動かしています。例えば、故繊維業者のダブついている所の商品を当社が請け負って流してあげるようなことです。その仕組みをつくったり、企業間取引を動かしたりしています。

バブルで仕入単価上昇
その後値崩れし...

――もう1つの、海外が厳しかったというのは?

海外市場も周期的に上下しますが、大きな理由は完全にバブルだったということ。いちばんのピークは去年で、仕入れ単価が平常時の150%くらいで推移していました。海外需要の伸びに便乗して、高単価で物を買い集める事業者も出てきた。どんどん叩き上げて市場を混乱させるなんてこともありました。例えば行政の入札で取り合いがありますよね。普通は5〜15円が相場のラインだとすると、そこを30円投げてくるわけです。

――過度な仕入競争が起きたと。

ええ。そして故繊維業者に卸していた古紙問屋さんの間でも、「自分たちで海外に売ろう」という動きが起きた。

しかしその矢先、政権交代など海外情勢が変わって完全に値崩れを起こしました。バブル崩壊で首が回らなくなった企業もあると聞きます。

――乱高下に振り回される事業者が多かったのですね。この状況に、クロカワさんはどう対応したのですか。

これはもう絶対バブルで異常値だと。そう思って見ていたので、買い値を上げず、取引先には我慢してもらいました。

――その間に価格で離れていく所もあったでしょう。しかし堅実な姿勢が結果的には良かったということでしょうか。

はい。9月に入ってから少し夜が明けてきた感触はあります。ただし、9〜10月の物量をトータルで見ると昨年対比でトントン。完全な夜明けにはまだもう少し時間がかかりそうです。

人手をかけるのは
店内の鮮度維持管理

――そういう状況の中で、今後はどのような戦略で成長していこうと考えていますか。

人手をかけないオペレーションで効率化を進めています。今までは店頭買取の後、値付けから何から何まで店舗裏で回していた。それを外に出して効率化できないかと模索している所です。

イメージはセントラルキッチン。今までは各店舗で料理していましたが、それらを一箇所でまとめて料理して、配送していきたいと思っています。現在本部と1店舗を使って、実験しています。

――効率化した分、新たに人手を割きたいポジション・業務は何ですか?

店内の鮮度維持管理です。物を投入していく所が滞るとやはり店が死んでいくので。

どうしても人の確保が難しい中、買取りが増えて販売も増えるとなると、皆かなり体力的に大変なんです。やはり士気も下がってくるし。しかしそこがやり切れないと売上にも影響して、どんどん悪いスパイラルに入っていきます。そこで、セントラルキッチンで回して出すだけでいいという状態にしたいと考えたんです。

――どのくらいのスピード感で進めますか。

1年くらいは少しずつ店舗を増やしていって、この2〜3年が最低ラインです。全店レベルで標準化となったらFC店の合意も得ないといけないので、5年、10年はかかるかもしれません。

カンボジアで小売
コントロール幅広げる

――昨年はカンボジアにも進出しましたよね。進捗を教えてください。

今カンボジアには2店あります。1店は延べ500坪で売り場は200坪。もう1店は延べ500坪で売り場は400坪です。業績が徐々に上がっているフェーズです。

――カンボジア店の位置付けを改めて聞かせてくれますか。 

買い取った物の内、日本で消化できない7割の物を海外に流していますが、海外の市場はいつどうなるかは分かりません。小売で市場に入ることで、コストコントロールやプライスコントロールの可能な幅を広げようと考えました。まだ全体の1%程度の物量しかカンボジアで消化できていませんが、今後はもっとマスをとっていきたい。あと数店舗直営で出して、その後FC的に直接卸すという仕組みができればベストです。日本でやったようにFCチェーンをつくっていく。カンボジアだけでなくタイなどアジアを見据えています。

――日本での今後の出店計画はどうですか?

中長期的には200店を見ています。それを実現するためにもセントラルキッチンを使った効率型店舗を生み出したり、他業態とコラボレーションしたりというのを考えています。

コラボについては、今までパートナーにいなかった洋服系の小売店や、NPOや福祉事業所との提携を模索しています。

単価が下がっているが
供給枚数増えてくる

――もう1つ最後に聞きたいことがあります。量り買いのキングファミリーは量が勝負ですが、そんなに消費者は古着を持っているものなんでしょうか。

新品衣料品の市場は一時10兆円だったものが、今は8兆円くらいに下がっています。しかし供給枚数は増加していて40億着くらいになります。それがコンスタントに出ているんです。

いかに単価が下がってきているかという現れでもありますが、買替えの頻度は上がって不要な衣類も増えてきていると読み解くことができます。それが今の構造ですね。

会社データ
Kurokawa
本  社:兵庫県高砂市米田町米田1097
設  立:2000年10月   資本金:7500万円
業  績:売上高(直営)約14億円
従業員数:164名(2017年2月現在)
直 営 店:キングファミリー6店舗
     ちゃくちゃくちゃく8店舗(2017年3月現在)
FC加盟店:キングファミリー73店舗
     ちゃくちゃくちゃく12店舗(2017年3月現在)

429号(2017/12/10発行)7面

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