日本デジタル終活協会、デジタル遺品トラブルに備えを 生前整理アプリも登場

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日本デジタル終活協会、デジタル遺品トラブルに備えを 生前整理アプリも登場

2019年04月09日

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日本デジタル終活協会

①.jpg▲デジタル遺品のイメージ

「個人情報が入っているから、デジタル製品は全部裁断してくれ」。とあるリユース業者が遺品整理を行なっている時、PCを確認した依頼者に言われた一言だ。WEB通帳や仮想通貨など、目に見えない「デジタル資産」の普及が進み、亡くなった人のPCやスマホが原因で、遺族がトラブルを抱えるケースが増えている 。放置しておけば、電子サービスが継続課金されたり、知らない間に相続放棄していた、なんていうことにもなりかねない。ましてや冒頭のように裁断してしまったら、データを取り戻すことはできなくなる。

課題は年配者の認知度向上

そもそもデジタル遺品とは何を指すのだろうか。デジタル遺品に関する問題解決を目指す日本デジタル終活協会(東京都千代田区)の伊勢田篤史代表理事は「デジタル環境を通じてのみ把握できるもの」と定義する。PCやスマホの中に残されたデータが典型例だ。遺族が本人から何も知らされていない場合、遺族がその端末のパスワードのロックを解除できず、遺品としての対処法に困ってしまうケースが考えられる。

加えて、金融機関や電子サービスの利用状況の把握も難しくなる。とはいえ、本人にとっては見られたくないデータやサービス利用が存在していることが十分考えられることから、生前に家族にパスワードを共有しておくというのは難しいといえる。そこで利用されているのが、デジタルに知見を持つ事業者によるパスワード解析だ。データ復旧サービスを手掛けるデジタルデータソリューション(東京都中央区)は2017年9月からデジタル遺品の調査サービスを開始した。

同社にはこれまで450件以上のデジタル遺品に関する相談が寄せられ、うち7割がパスワード解除に関するものだった。ただ、依頼対象の故人の年齢層を見ると。50代以上の割合が3割に満たない。上谷宗久取締役は「年配者に対するデジタル遺品サービスの認知度をあげていく必要がある」と話す。ITセキュリティ事業を展開するCross&Crown Security Intelligence(東京都港区)もネットセキュリティ技術を応用することで、内部データを取り出すサービス「ミチノリ」を展開している。同社は数年以内に各都道府県に1拠点の営業代理店を作ることで認知度向上を図るという。

事前の備えでスムーズな整理を

ただ、デジタル遺品を専門に取材を続けるライターの古田雄介氏は「PCやスマホのセキュリティ技術はますます向上し、現状は法的なガイドラインも存在しないため非常に扱いづらくなっている」と警鐘を鳴らす。そんな中存在感を増しているのが故人のプライバシーを守りながら、必要な情報を遺族に遺すという「デジタル生前整理」の発想だ。遺品整理事業を展開するネオプライス(大阪府寝屋川市)は、デジタル生前整理アプリ「編みノート」を1月に公開した。本人がPC上で削除したいデータと残しておくデータを生前に分別しておく。

一定期間PCを立ち上げなかった場合、PCのデータがロックされ、デジタルエンディングノートを閲覧するかパスワードを解除するか選択できるようになるというものだ。情報セキュリティーベンチャーのDigtus(神奈川県横浜市)はパスワード管理ツール「Secbo」を開発している。Secboでは生前のデータを自分専用・共有・相続の3パターンでクラウド上に保管することができる。岡澤広知社長は、アプリに保管したデータを元に相続通知を行う、プラットフォームとしての活用も視野に入れている。4月以降提携事業者を募る。保険、銀行、遺品整理、葬儀業者などとの連携を見込む。政府によるガイドラインの制定が見えない今、ユーザーの自衛が求められている。遺品に関わる事業者自身も、デジタル遺品ならではの特性を理解してサービスに取り込んでいく必要がありそうだ。

◆デジタル遺品 対応事例◆
・経営者の父が死亡。死後、税理士との会話で家族が知らない会社の登記が判明。隠し遺産の可能性があるため、
遺品のPCのパスワードを解除。
・母親が語った遺言の動画データをiPadで動画撮影したが、故障で取り出せなくなった。相続の裁判で使用する為に再現。
・自殺した20代の息子のスマホデータを復元。何が理由で亡くなったのか知るため。

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