《Legacy》アーチ、新橋金券店の草分け 「うちは買取り断らない店」

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《Legacy》アーチ、新橋金券店の草分け 「うちは買取り断らない店」

2019年09月04日

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要約すると.ブルー.png

・競争激しい新橋金券店の草分け的存在のアーチ
・絶頂期と比べ売上減少するも、"買取を断らない店"として常連が利用
・生き残りをかけ不動産事業や商材拡充を図る

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アーチ

金券店の競争が激しい「ニュー新橋ビル」で、草分け的存在として知られるのが「DISCOUNT TICKET ARCH」(運営:アーチ・東京都港区)だ。創業は1982年。バブル期までは好景気の波に乗り、月商100億円を上げることもあった。昨今はネットでチケットを購入する動きが加速し、景気は厳しい。老舗金券店の次なる一手も気になるところだ

13.JPG▲ニュー新橋ビル1階に店構えする「アーチ」

1日の来店200~300人
3~4割が買取客

「近隣店を聞いて回っていくと、"当店が一番古い店"として辿り着くようなんです」

こう語るのは、取締役の田中剛さんだ。自身の父で、同店の社長である潤さんが30代の頃に立ち上げたのがアーチだ。新橋界隈どころか国内を見ても、創業当時、金券専門の店舗は見当たらなかったという。現在ニュー新橋ビルで展開される金券店乱立の礎を作ったのが同店のようだ。

絶頂だったバブル期が過ぎ、年商100億円を割るようになってきたのが20年ほど前。現在は、それから10分の1程度までに売上が落ちたというが、"買取りを断らない店"として今もなお、古くからの常連やサラリーマンらが集まっている。1日の来店数は200〜300人。うち3〜4割が買取利用のお客だ。「当店は借り入れがない分、自転車操業ではないので資金面で体力がある。他店では1回の買取りで2万円まで、10万円までと断ることがあるが、うちは断らない」(剛さん)

店によって買取額や売値に差はあるものの、一貫して薄利多売のモデルとして知られるのが金券店だ。同店では例えば、商品券を額面の97%で買い取ることがあるが、「決して高価買取ではない」と剛さんは話す。「例えば1,000円の商品券を970円で買取り、990円で売る。すると利益は20円。よそなら980円で買って、985円で売るなどするが、薄利多売で回し過ぎても、必要な時期に在庫不足が起きてしまう」(剛さん)

商品量が多いのも、古くからお客が付いていることが要因だ。「父は創業後、JTAという金券店事業者の団体を作った。当時は偽造券の出回りが酷く、注意喚起や情報共有のために団体を発足したようです。今では、その加盟店同士で商品を融通しあうこともある」(剛さん)

生き残りかけ不動産、商材拡充も

アーチでは先細る金券業界で生き残るため、今では不動産収入を得て、持ち堪えているという。同じニュー新橋ビルの中に所有スペースを持ち、飲食店に貸し出している。本業のリユースでは、金券類以外の取扱いはまだないが、「まずは預かって、提携業者に見てもらう形」(剛さん)で、店頭でブランド品や貴金属品など他商材を買取る窓口も作っていきたい考えだ。

第470号(2019/08/25発行)13面

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