《皮革製品修復ラボ(49)》もっと安心できる市場を作れない?

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《皮革製品修復ラボ(49)》もっと安心できる市場を作れない?

2017年10月02日

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皮革製品 修復ラボ

Lesson49 最終回

販売者に知識・メンテ技術も進化

最近、セレクトショップのフロアマネージャーや販売スタッフから高級衣料、レザー製品のアフターメンテナンスの知識を尋ねられる。

百貨店の売場や外商の方々からも同様だ。小売業界がアフターサービスやリペアを積極的に始めるのか?いや、そうではない。

販売の際に接客トークに使うようだ。

「リペアが出来る、出来ない」「クリーニングはこのように」「長く使い続けるコツはこう......」「予想できるトラブルはこう防ぐ」などなど。

消費者は様々な条件を考え購入をジャッジしているさらに保管方法からメンテの自社受けについて、専門業者紹介まで身に付けようとしている。売り方も変わってきたものだ。筆者もブランド業界で店長まではやったが、そのシーズンのコンセプトと商品知識をしっかり覚えるだけで、なかなかそこまではノウハウとサービスに手がまわらなかった(当時自分ではやってる方だと自負していたが)。

聞くところによると、販売時に顧客は高価なので迷って決められなかったり、長く使えるか考えたり、あらゆる良いこと悪いことを考えながら接客を受けるそうだ。上述したようなトークを行うと、そんな時のクロージングが早くなる。つまり「それなら」と正しく背中を押してもらえるらしい。向こう何年間かにその商品によってもたらされる幸せを想像できるからだ。

革ソファーのお話を以前したが、相変わらずアフターサービスとして好評だ。クルマの革シート同様、やはり他人のエイジングを受け入れにくい日本人向きだと思う。革ソファーも販売者がメンテナンスアドバイスやトラブルシューティングについてますます知識を持つだろうし、座り心地の変化より先にきてしまったキズやスレ、シミ、退色やカビなどのトラブルを請け負う業者紹介も進んできているようだ。

販売者に知識と経験がつき、我々メンテナンス業界の技術精進も進むことで、クルマ、時計、電化製品、パソコンなどのように、購入時にもっともっと高級靴やブランドバッグの安心できる市場はできないだろうか?流行り物だからとどうせすぐ持たなくなるものばかりではないはずだ。

私自身が2012年10月から長年にわたり書かせていただき49回目の今号が最後となった。現実的でもなくつまらない内容も多々あったと反省しているが、自身も身の回りはリユースの品々で楽しく生活している上に、このような企画を頂いた業界の皆様には感謝にたえず、益々の発展をお祈りしたい。お届けした情報が、リユース業界でも何かしらお役に充てることを願う。

5年間、ありがとうございました。

川口 明人氏
≪筆者 Profile≫ 川口 明人氏

1960年、神奈川県生まれ。根っからの靴、バッグ好き。大学卒業後ヨーロッパに渡りフランスのシューズブランドに就職。帰国後は婦人靴ブランドのマネージャー、ブランドバッグ販売責任者、婦人靴メーカー商品企画・製造責任者などを歴任。皮革製品修復の「美靴工房」立ち上げに参画。現在は同社の専務取締役として女性修復師チームを率い数多くのメゾンブランドから指名を受ける。メディアにも度々取上げられており、質店・ブランドリサイクル店にとっては駆け込み寺的存在。

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424号(2017/09/25発行)5面

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