ジェムケリーGHD 宝飾メーカーが〝逆転の発想〟買取専門店
2025年06月27日
高級ジュエリーメーカーの、ジェムケリーグループホールディングス(京都府京都市)。同社は昨年10月、自社独自の買取専門店を出店した。メーカーやブランドが、自社製品を集め公式中古品として販売するケースは増えつつあるが、買取専門店を運営する事例は珍しい。同社の中野猛社長は買取業を通し「色石が二次流通で適正価格で売買されるようにし、宝飾品業界の活性化を図りたい」と熱意を見せる。
色石の適正価格売買を推進
HD直轄でス―パーに買取店
15年前から二次流通を構想
中野猛社長
ジェムケリーグループホールディングスは、色石を用いた自社でのデザインや制作、販売まで一気通貫で行う「ジャパンメイド」にこだわるジュエリーブランドを展開してきた。そんな同社が昨年、京都府長岡京市内にあるスーパーマーケット「イズミヤ」内に買取専門店をオープン。屋号は「買取専門店 GEMCEREY」だ。同店及びリユース事業は、ホールディングス直轄で手掛ける、重要な新戦略だと言う。
同社は密かに2010年頃から、二次流通参入を構想していた。そこには〝ある危機感〟があった。「カラーストーンは長年製造してきた我々でも、鑑定が難しいくらい、奥が深い。リユース業界では金の買取りは意欲的でも、色石の真贋や適正な査定額の提示が進んでいない実態があると聞いていました。私は物事を『サカサマ』で見て考えるようにしていて、宝飾品を制作する我々だからこそ買取りができれば、宝石の価値を守ることにつながると思いました」(中野社長)
真っ先にリユース業を始める意欲を示し、事業の運営を担ってきた藤田勝也副社長は、買取市場が抱える課題に警鐘を鳴らす。「先日も0.2カラットのピンクダイヤモンドを持ってきた方がいました。その方は他の買取専門店だと『0.3カラット以下はダイヤと評価しない』と断られてしまったと。ですが希少性の高いピンクダイヤで、しかも特に良い『ファンシーライトピンク』だったんですよ。今でもそんなことが日常的に起きているんです」。
第610号(2025/06/25発行)28面