遺品整理の現場でプロとしての目線を学ぶ【働く新人成長物語】

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遺品整理の現場でプロとしての目線を学ぶ【働く新人成長物語】

2026年02月12日

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働く新人成長物語 ヒューマンフォーラム

リユース企業で働く「若手社員」は、日々どのようにステップアップしていったのか。未来のリユース業界を担う、新人社員のリアルな成長物語を紹介する。今回はメモリーズ横浜支社(神奈川県横浜市)に勤める、平野徹さんの物語をお届けする。

ブランド・商品知識ゼロから鑑定に携わり

「整理整頓を学びたい」と
遺品整理に転職

メモリーズ 平野徹さん

メモリーズ
平野徹さん

34歳、神奈川県出身。外勤が基本で、朝に会社を出発し、一日がかりで訪問先の整理を行う。横浜支社は東京・神奈川・埼玉・千葉を主なエリアとしており、車で2時間程度の距離まで移動する。毎日異なる場所を訪れることが、良い気分転換にもなっているという。

遺品整理・特殊清掃を行う「メモリーズ」横浜支社に務める平野徹さんは、現在入社4ヵ月。故人宅を訪問し、遺品整理や清掃の現場スタッフとして業務にあたる。平野さんの転職理由は少しユニークだ。前職は配送業でドライバーをしていたが、「もともと自分の部屋の掃除や整理整頓が苦手。遺品整理に携わることでコツが学べるのではと思った」ことが理由だった。大変な仕事ではあったが、ニュースで特殊清掃について見聞きする機会があり、挑戦してみたかったという。

現在はほぼ毎日、故人宅に訪れ片付けを行う日々。遺族と打ち合わせた内容をもとに現場リーダーから指示を受け、大きな家具や家電から身の回りの小さな遺品までを整理する。買取りが可能なものと不可能なものに仕分けしていく。

ブランド知識なく
買取品の分別に戸惑う

ところが、ここで壁が立ちはだかった。もともとリユース業界を目指していたわけではなかった平野さんは、ブランド品や家具・家電などの物品知識を持ち合わせていなかったのだ。「プライベートでもブランドものには興味がなくて...有名なブランドをいくつか知っているくらいでした」

しかも遺品整理は取り扱う品目も多岐にわたる。先輩スタッフから家具・食器・衣類の代表的なブランドや、家電の動作確認方法、年式の判断基準などを一から学んでいくしかなかった。

ある日、手に取った国内製のドライヤーを「これは買取りできないだろう」と思い込みで買取り不可の段ボールに仕分けてしまったところ、先輩に「年式をきちんと見たかな?」と確認された。よく見ると、まだ製造年から2〜3年しか経っていない。状態も決して悪くはなく、きちんと鑑定すれば買取りできたものだった。まだまだ品物を見分ける能力が不足していると気づいた瞬間だった。

入社後、これまでに約80件の遺品整理に携わり、現場作業にも徐々に慣れてきた。一方で、鑑定では今も判断に迷う場面が少なくない。自分では見落としていた家具の小さな傷などを先輩から指摘されることもある。ただ丁寧な仕事ぶりは周囲から評価されており、「仕分けが早くなった」「吸収が早いね」と褒められたときは励みになったと話す。

品物を大切に扱い"故人の思い出を運ぶ"

メモリーズ 事務所に運んだ遺品を検品する平野さん事務所に運んだ遺品を検品する平野さん

こうした体験を通して、人と一緒に働く楽しさも知った。以前はドライバー兼配達員ということもあり、ほぼ一日中一人で作業をしていたが、周囲と協力して目的を達成していく充実感も得たという。「この段階で先輩社員に相談したり報告したりすればスムーズに仕事が進むな、という勘どころもわかってきました」

仕事で気を付けていることは、品物を丁寧に扱うこと。目の前にお客様がいてもいなくても、故人の思い入れのある品は雑に扱ってはならない。品物に傷を付けないのが第一で、割れやすい食器類などは、緩衝材とともに衣類に包んで運び出す。思い出そのものを運ぶ気持ちで仕事にあたる。

「遺品を通して、『故人はどんな人生を歩んできたのだろう』と思いを巡らせます。ご遺族は品物を手放すかどうか、少なからず迷うもの。その気持ちを受け止めながら、責任を持って仕事に携わっています」。仕事内容を着実に覚え、今後は業務全体を采配する現場リーダーを目指す。

メモリーズ POINT

第625号(2026/02/10発行)16面

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