ワンズライフ、母の死が受け入れられず遺品に故人重ねた女性客

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ワンズライフ、母の死が受け入れられず遺品に故人重ねた女性客

2019年12月09日

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〜遺品整理ダイアリー〜
思い出に寄りそって Story3

遺品は故人の人生そのものであり、残された者へのメッセージです。遺品整理の現場から生まれたストーリーをお伝えします。

ワンズライフ
母の死が受け入れられず遺品に故人重ねた女性客

女性の視点と感性に立ったきめ細やかなサービス女性の視点と感性に立ったきめ細やかなサービスを提供している

電話は24時間、365日、即日対応電話は24時間、365日、即日対応

親しかった身内の死を受け入れられず、遺品を故人そのもののように感じて、なかなか整理出来ない人は少なくない。昨年、遺品整理・生前整理・特殊清掃の専門会社ワンズライフ(東京都世田谷区)の上野貴子代表は、50代の女性から母親の遺品整理に関する問い合わせのメールを受けた。

その女性は事前にかなり情報収集を行っており、細かく色々なことを質問してきて、自身で整理のプランを書いて送ってくるほどだった。

見積を取るため、女性の自宅に出向くと、遺品は8畳位の部屋に収められていた。そのほかにもトランクルームを借りて保管してあるという。

「お母様と姉妹のように暮らして来られた方で、遺品を手にとると思い出が蘇って捨てられず、第三者の力を借りようと決意されたようです」と上野代表。

女性は見積と作業内容に納得。後日、ドライバー、運搬担当、仕分けも担当する現場責任者の3人1組が現場に入った。遺品の量から言えば1日で済む作業だった。ところが、遺品処分やリサイクルにして良いかと確認すると、女性はいちいち迷って考え込んでしまう。結局、整理するのに丸4日もかかってしまった。しかも、それで終わりではなかった。

合同供養に設けた専用スペース

ワンズライフでは仏壇・仏具や故人の愛用品を対象に、僧侶による合同供養を行っている。女性はその合同供養への参列を希望した。持ち込まれた遺品はぬいぐるみや人形など、ダンボール7箱の膨大な量だった。

上野代表は合同供養の会場に専用のスペースを設け、遺品を丁寧に陳列した。女性はいざ遺品を目にするとまだ未練が捨てきれないらしく、『これは持って帰りたいです』と抜き出したりしていた。それでも供養が終わると満足したようで、お礼を言って会場を後にしたという。

「本当は遺品整理の前にグリーフケアが必要な方だったような気がします。遺品整理は物だけ片付ければ良いわけではない。整理を通して故人の死を悼み、受け入れていくものなのだと学ばせて下さった、忘れられないお客様です」(上野代表)

仏壇・仏具や故人の愛用品は僧侶による合同供養を行なっている仏壇・仏具や故人の愛用品は僧侶による合同供養を行なっている

遺品整理は故人の「生きた証」と「想い出」に寄りそう作業です

上野貴子 代表ワンズライフ 上野貴子代表

1980年代からソニーやマイクロソフトに秘書や経理などの事務スペシャリストとして勤務。2011年の東日本大震災をきっかけに、もっと社会に貢献できる仕事をしたいと、2015年にワンズライフを設立した。遺品整理の専門会社で全国初の女性社長として注目を浴び、「日経スペシャルガイアの夜明け」で紹介されたことも。スタッフ全員が遺品整理士の資格保持者で、遺品整理を片付けにとどまらず、故人の「生きた証」と「想い出」に寄りそう作業と定義し、依頼者の気持ちを汲んだ対応をモットーにしている。

第476号(2019/11/25発行)19面

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