たんす屋、着物リースのサブスクサービス

検索

たんす屋、着物リースのサブスクサービス

2019年12月08日

  • Google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

着物リサイクル春夏秋冬 第231回

中古着物を販売するたんす屋社長の中村健一氏が、自社の取り組みなどから中古着物業界について切る、本紙連載企画「着物春夏秋冬」。

中村健一 社長東京山喜 (店名・たんす屋) 中村 健一 社長

1954年9月京都生まれ。77年 カリフォルニア州立大学ロングビーチ校留学、79年 慶応義塾大学卒業。同年東京山喜入社、87年 取締役京都支店長、91年 常務、93年 社長に就任、今に至る。

月1回から無制限まで3プラン
店の着物や帯を自分好みにコーデ

着物リースのサブスクリプション型サービスを検討している。特別な機会に「着物を着ておでかけ」を選択肢に入れている方は少なからずおられる。しかし実際は着物の購入、着付け、着用後のお手入れ、収納を考えるとあまりにもあれこれと面倒なことがついて回り、「やっぱり洋服でいいや」という結論になってしまうことが非常に多いようである。

当然ながら、それならばレンタルという選択肢があるわけだが、従来の貸衣裳屋で借りることにも感性的に抵抗があるようだ。自分の好みに合うお店でトータルコーディネートをしっかり納得するまで、まるで購入するが如くチョイスしたい。しかし購入するには価格面だけではなく、その後の着付け、着用後のお手入れ、更に収納まで考えると二の足を踏んでしまう様である。

月1万円で3回リース

そこで、たんす屋が考えた画期的なサービスが「着物リースのサブスクリプション型サービス」だ。ネーミングは検討中だが「定額着物着放題TANSUサービス」(仮称)である。具体的には以下3つの様なサービス内容を検討している。

ベーシックプランは月額5000円ベーシックプランは月額5000円

1)ベーシックプラン月額5000円で、毎月1回たんす屋の登録した店舗にある全ての着物や帯を最長で1ヵ月間リースできる。 2)プレミアムプラン月額1万円で、毎月3回までたんす屋の登録した店舗にある全ての着物や帯を最長で1ヵ月間リースできる。 3)スーパープレミアムプラン

月額2万円で無制限にたんす屋の登録した店舗にある全ての着物や帯だけではなく、未仕立ての着物や帯もお誂えしてリースできる。着物業界は、45年前の昭和50年前後に約2兆円というマーケットのピークを迎え、以来は残念ながら一貫して右肩下がりを続け今では2700億円まで凋落している。ピークの13.5%だが、昭和50年の大卒初任給が7万円であったことを考えると、概ね物価水準がこの45年で3倍になったわけであるから、実質的にはこの45年で往時の4.5%まで減り続けたことになる。

日本のお客様がそれほどに着物が嫌いになったのかと言えば、決してそうではない様に思う。今でも多くの女性が着物に対して少なからず興味を持ってくれている。しかしながら、消費者の価値観が根底から劇的に変化を遂げたのではないだろうか。

物を持つ喜びが極めて希薄に

着物業界の絶頂期、我々はお客様の所有価値を刺激することで大きな成果を挙げてきた。「是非一つお持ちください。お嬢様にも是非お持たせください」。この様な常套句で嫁入り需要を中心に着物市場は急拡大し、素晴らしい成功体験を築き上げてきた。しかし今の消費者は所有価値が極めて希薄になり、それを遥かに上回って体験価値が上位にきている様だ。近藤麻理恵さんの「断捨離」がアメリカでも大ブームになっている様だが、持つ喜びから持たない清々しさに価値観が変わってきている。

我々着物業界の人間は着物や帯の購入後、年に2回、春と秋の湿度の低い天気の良い日を選んで、虫干をする手間をお客様に強いていることを自覚しているだろうか。出して1日、しまうのに更に1日、これを年に2回、計4日間。この着物のお手入れに喜んで時間を割いて頂けるお客様がどれほどいらっしゃるだろうか。

今年の流行語大賞に「サブスク」がノミネートされた。サブスク、サブスクリプションは本来雑誌などの定期購読のビジネスモデルだった。それが今ではサービス内容の範囲が広がり、映画や動画の見放題サービス、健康サプリメントなどの定期購入、スポーツジムや習い事の通い放題、そして「メチャカリ」の様なファッションの借り放題まで、あらゆる分野で多くのユーザーの支持を拡大し続けている。

ストレスなく着物道へ第一歩を

社内でこの「定額着物着放題TANSUサービス」を提案して議論したが、そのリスクと収益性に多くのネガティブな意見が噴出した。どれも非常に常識的でもっともな意見である。それでも私は、そのリスクを乗り越えて是非このたんす屋の着物リースサブスクリプション型サービスの実験をスタートしたいと強く願っている。

その理由は、私が経営の中で最も大切にしているキーワード「時代の変化を成長のエンジンにする」にある。時代の変化の中で、消費者の価値観が180度激変したことを我々はチャンスに変えたいと思う。「持つこと」が喜びから苦痛になりつつある。たんす屋は、お客様の苦痛を解決していきたいと思う。

着物に対して漠然とした憧れを持っている消費者に、ストレスフリーで着物道に第一歩を踏み出して頂く為の、着物リースサブスクリプション型「定額着物着放題TANSUサービス」を、是非ともたんす屋事業の中核的事業に仕上げて行きたいと思っているが、いかがだろうか。

第476号(2019/11/25発行)18面

リサイクル通信のLINE@ 最新ニュースを配信!
Page top