休業対象外でも厳しさ増す質屋運営 リスク拡大で融資額の上限検討する店も

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休業対象外でも厳しさ増す質屋運営 リスク拡大で融資額の上限検討する店も

2020年05月18日

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緊急事態宣言が発令されて約1ヵ月。質屋は「社会生活を維持するうえで必要な施設」として休止要請の対象外となった。「このような時こそ庶民金融である質屋の役割を果たすべき」との考えから、通常営業を続ける店がある一方、外出自粛要請や従業員・顧客の感染予防への配慮から、販売は休業し、質買取のみの営業としたり、営業時間を短縮する店も多く、対応は分かれている。1都6県の質屋7店に匿名を条件に緊急事態宣言後の運営状況や今後の展望を聞いた。

タイトルなしのコラージュ.png▲換気、社員のマスク着用、アルコール消毒の徹底など、どの店でも3密にならない対策を徹底して行っている

新規で来店した経営者から500万超える融資依頼

4月6日、東京など7都府県への緊急事態宣言発令の前日、休業要請の対象に質屋が含まれていると報道され、衝撃が走った。最終的には「社会生活を維持するうえで必要な施設」として休業の対象外となったが、金融業の質屋が、なぜ「休業を要請する施設」の中に入っていたのだろうか。

「戦前に感染症が流行したとき、質屋に行列ができたため、休業対象のリストに入ったと聞いています」と語るのは、神奈川県の繁華街に店を構えるK代表。報道を聞いて慌てて質草を請け出しに来たり、質預かりに来たお客がいたという。

「当店は近くに飲食店や風俗店などがたくさんあります。こういう時こそ、質屋が必要とされていると思うので、通常営業しています。実際、緊急事態宣言が発令されて暫く、新規のお客様が増えました。この半径3キロメートル以内に10店の質店がありますが、他店も同じことを言っています。うちも新規で500万位の大口融資が2〜3件ありました。他店は最高1000万の融資があったそうです」とK代表。

10_p1.jpg▲緊急事態宣言後は新規で来店する経営者が増えた店もある

ブランド品の価格下落や市場の休会で出口なく
融資額に上限設ける検討も

都心の外資系企業やハイブランドの旗艦店が立ち並ぶエリアにある老舗質屋のY代表は、従業員が満員電車に乗って感染のリスクにさらされないよう、営業時間を遅らせている。この店でもやはり緊急事態宣言が出た当初は新規顧客の融資があったが、先が見えない状況での大口融資はリスクが高いと感じている。

「コロナで中国人のお客様が消え、3月は古物が1つも売れませんでした。市場も休業中で、ブランド品価格も3割ほど下がっているので、融資額も下げざるをえない。もっと下落する可能性もあるので、融資額に上限を設けることを検討しています」と語る。

都内北西部の閑静な住宅街で店を運営するS氏は、「質預かりは増えていないが、需要が高まるのはこれからではないか」と見ている。同店は電気店を併設しているため、個人宅へ出張しているが、どこの家でも片付けや整理をしているという。

「そうすると金のネックレスが出てきたりして、いま金が値上がりしているから売ろうかとなる。近い将来、大量に売りに出される可能性があります。ですが、いま金地金の取引は停止になっているので、高額品の買い取りや融資が難しいところも出てくるでしょう」

質預かりのニーズは自粛解除後という見方も

東京と地方とでは、事情は異なる。関東地方北部の地方都市で質屋を営むH氏は、通常営業しているものの、「質入れも質請けも全くなく、開店休業状態」だと嘆く。

「このあたりは首都圏ほど危機意識がなく、近くの居酒屋やキャバクラは夜遅くまで営業しています。客足は落ちているでしょうが、人が見ているので、お金が必要な人は少し離れたところに行くのだと思います。きちんとした会社はまず、公庫や政府の休業協力金を使います。ただ、すぐ現金が振り込まれるわけではありません。自粛解除で動けるようになる6月以降、つなぎ資金の調達で、質預りが増える可能性があります」とH氏は分析している。

融資額が大きければ
金利の低い店に人は集まる

都内東部の住宅街で富裕層をターゲットとした質屋を運営するK氏は、コロナ後の質屋業界についてこう語った。

「質屋と一口に言っても、都心の駅前店、住宅街の個人店、買取と販売をメインにしたブティック型店、郊外のネット中心店があり、客層もまったく違います。一つだけ言えるのは、融資額が大きい場合、金利が安ければ返済額に大きな差が出るので、金利を低くできる資金力のある店にお客の足が向くだろうということです」

都内の駅前店では新規顧客に限り、4月中の金利を0%にして、取り込みを図っている店もある。緊急事態宣言はゴールデンウィーク後もさらに1ヵ月程度、延長される見込みだ。質屋も厳しい時代には、経営力と資金力で勝負というわけだ。質屋がコロナ渦で庶民金融の役割を果たし、社会の中で存在感を示すことができるかどうか、今後も取材を続けていきたい。

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第487号(2020/5/10発行)8面

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