ハードオフコーポレーションの2024年度の業績は、売上高が335億円、営業利益は32億円で大幅増収増益となった。昨年11月には全国で1000店舗目の出店も果たし、目下は絶好調だ。ハードオフは今から32年前、1993年に第1号店をオープンして以来、リユース事業専業だ。だが、その前身となるのは新品のオーディオ専門店「サウンド北越」で、開店は1972年。その創業から53年の間には、大きな苦難にも直面し、それを乗り越える中で、今のビジネスモデルを生み出して来たものだった。
新品小売への反省から生まれたリユースビジネスモデル
はじめに正しい売価 次に正しい買取価格ありき
ハードオフコーポレーション
山本 善政 会長
倒産の危機をリユース事業転換で乗り切る
下のグラフAは、同社のこれまでの53年間の業績推移を示したものだが、新品オーディオ販売の時代の前半約25年と、リユース業態に転換してからの後半の同25年では、劇的に変わっている事が一目瞭然だ。
だが山本会長は、ハードオフのリユースビジネス成功には、実はこの「サウンド北越」を経営していた20年間における失敗や経験が原点になっていると言う。
山本会長が24歳で創業したサウンド北越は、その後着実に店舗を増やし、20年間で県内10店舗、年商約8億円と県内ではトップの専門店に成長していた。(注1)ところがバブル景気の崩壊とオーディオブームの終焉が同時に来た1992年に突然売上が半減する事態に見舞われた。それを見た取引銀行や仕入れ先のメーカーも一斉に手を引き出し資金繰りが逼迫。一気に倒産の危機に直面した。
第609号(2025/06/10発行)13,14面