ハードオフは2000年11月に、ジャスダック市場への上場を果たした。倒産の危機に瀕したのが1992年、起死回生のリユース業態転換へのハードオフ第1号店をオープンしたのが93年。それからわずか7年後の快挙だった。しかも、総合リユース企業としては初めての株式上場。その後も2004年には東証2部、2005年には1部上場を達成して、現在はプライム市場に名を連ねている。
株式上場のメリットを実感し啓蒙活動も
「社会のためになるか」「お客さまのためになるか」
理念経営への目覚めが事業成功の全ての原点に
ハードオフコーポレーション
山本 善政 会長
Profile
やまもと・よしまさ
1948年、新潟県生まれ。1970年、拓殖大学商学部卒業。1972年、24歳の若さで新潟・新発田市の商店街でオーディオショップ「サウンド北越」を独立開業。以後、オーディオ+ビジュアルの「サウンド北越」、パソコンショップ「北越テクニカ」を新潟県内で10店舗構えるまでに伸ばす。1992年に業績が突然悪化して経営危機に陥ったが、リユース業態の「ハードオフ」への事業転換で乗り切る。FC展開による全国出店を急ピッチで進め、2000年に総合リユース企業として初の株式上場を果たす。リユース、フランチャイズの各協会でも会長職を務め、業界発展に貢献。2016年には藍綬褒章を受章。2019年より、社長の座を息子の太郎氏にバトンタッチし、現在、会長に至る
「IPOって何のこと?」からわずか4年で上場果たす
同社が株式上場を検討し始めたのは、上場のほんの4年ほど前、1996年のことだったという。
「野村証券とJAFCOの若い担当者の方が、本社を訪ねて来て『御社ならIPO(証券市場への株式公開)できるかもしれませんよ』と言われて、最初は『IPOって何のこと』って感じでしたね(笑)」(山本会長)
何しろ当時の同社はFC加盟店が急増して売上、利益率共に急増して破竹の勢いだったとは言え、前年までは大幅な債務超過の状態で、社内の整備もまったくできていなかったからだ。
第612号(2025/07/25発行)18面