捨てられるスーツケースが宝の山に?
2025年12月11日

インバウンド需要の本格的な回復で外国人観光客が賑わう一方、ホテルや空港で「スーツケースの置き去り問題」が深刻化している。破損や買い替えによって不要になったスーツケースは、産業廃棄物として処分に手間とコストがかかり、宿泊施設などを悩ませている。しかし、この課題をビジネスチャンスと捉え、新たなリユース事業に乗り出す企業が現れている。中古スーツケースは、「探知犬の訓練」「海外販売」「ホームレス支援」など様々な形で利活用されている。
海外販売・探知犬訓練・自立支援
ホテルに放置されたスーツケース
そもそもスーツケースが置き去りにされる主な背景は2つある。1つは、旅行中の「破損」だ。修理店に持ち込む手間や費用を考え、そのまま放置してしまうケースが多い。もう1つは、日本で大量のお土産を購入したことによる「容量不足」だ。滞在中に新しく、より大きなスーツケースを現地で購入し、古いものを捨て置いてしまう。
外国人観光客が宿泊客の約7割を占めるという秋葉原ワシントンホテル(東京都千代田区)は処分コストに頭を悩ませている。
「過去1年間でスーツケースの放置は50~60件にのぼります。スーツケース以外の放置物も含めると、その数はおよそ1500件。置き去りになった品物の保管場所の確保、年々増える処分費用の増大が懸念事項です。入国や買い物の際に置き去り(不法投棄)はしてはいけないことだと周知されることを願います」
第621号(2025/12/10発行)28面


