《骨董買取の技法3》古い家に絶対ある抹茶碗や煎茶碗

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《骨董買取の技法3》古い家に絶対ある抹茶碗や煎茶碗

2015年09月10日

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骨董買取の技法 タイトル

骨董買取の技法 第3回

家元の書付道具なら最低でも5万円

茶道具と言われて、皆様は何を連想するでしょうか?茶碗の方もいるでしょうし、茶釜の方もいるでしょう。また、掛け軸と言う方もいるかもしれません。これは、全部、正解です。

少し古い家だと、抹茶碗や煎茶碗の一つや二つは絶対にあります。なぜなら、戦後、茶道が大衆化したおかげで、我々の親世代(今70~80歳代)の女性は、花嫁修業の一環として茶道を嗜んでいたからです。茶道具の相場は正直言って、どんどん落ちています。やる人がどんどん減っているからです。亡くなったり足が悪くなったりして、お茶の先生が道具を処分すると、相当量の茶道具が市場に放出されます。しかし、新規でやる方は少なく、需給の関係で相場は下がっているわけです。とは言え安くなったと言っても数万~数十万円の道具は、日常的に出てきます。つまり、まだまだビジネスになるのです。

一 楽 二 萩 三 唐津 茶碗の頂点 楽吉左衛門の茶碗一 楽 二 萩 三 唐津 茶碗の頂点 楽吉左衛門の茶碗

次に茶道具の価値について考えてみたいと思います。競り市場などで、10個で1,000円しかいかない茶碗もあれば、一つで百万円まで競りあがる茶碗もあります。この差は何か?

「千利休が使っていた道具」と「私が練習で使っている道具」。どちらが高いかは明白ですよね。私が練習でつかっているようなあまり価値のない茶道具は、「稽古用」といった表現となります。どう見分けるかというと、例えば、「紙箱に入っているもの」「普通の杉箱や合板の箱に入っているもの」「箱の文字が印刷であるもの」といった感じです。こういう物しかない場合は、相当物があっても、全部で数万円しか査定できない場合が多いです。お客様から「お稽古用の道具」といった言葉が出たら、それほど積極的に買う必要はないと思います。

では、お金になる茶道具とは何か?まず第一に、次の流派のものであること。三千家(表千家、裏千家、武者小路千家)と江戸千家、大日本茶道学会ぐらいを知っていればいいと思います。地方の小さな流派の道具は壊滅的に安くなっています。

第二に、「家元の書付のある道具があるか?」ということです。書付というのは、これはいい道具だということで、家元が署名を箱書きすることをいいます。東京で茶道を教えている先生やお茶を習っていた富裕層は、間違いなくこの書付道具を所持しています。今でも、家元の書付がある茶碗なら、最低でも5万円ぐらいはします。

取つきにくいと思われる茶道具ですが、是非、前述の点を考慮しながら取り入れてみてください。

▷プラスα

一口に「茶道具」と言っても、道具の種類だけでも多く、それらが、形、産地、作家などで多岐に分類されます。茶道具とは、総合芸術です。また、抹茶と煎茶というように、煎れ方の違いで全く違う作法になっています。一般的に、「茶道」「茶道具」というと抹茶を指し、煎茶と区別されます。連載第一回目でふれた銀瓶や、ネットなどでよく売れる急須・茶托などは、煎茶道で用いられる道具になります。また、茶碗も煎茶の場合は、猪口を少し大きくしたような小振りな感じのものになります。

藤生 洋藤生 洋

<プロフィール>
昭和42年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、ロッテの財務部で勤務。サラリーマン時代から骨董市に通う。歴史好きが高じて平成11年、31歳で起業。ネットオークションや骨董市で骨董品の販売をはじめる。平成13年には「(有)北山美術」に改称。平成24年には骨董の業者間オークション「弥生会」を3社共同で立ち上げ、会員数200社の規模に拡大する。現在は店舗と事務所を東京・千葉・札幌に展開している。骨董店での修行無しに独自に事業を軌道に乗せた手腕が話題になり、 2冊の著書を上梓。

375号(2015/09/10発行)7面

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