《骨董買取の技法20》「優美典雅な姿」、惚れ惚れてしまいます

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《骨董買取の技法20》「優美典雅な姿」、惚れ惚れてしまいます

2017年04月17日

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骨董買取の技法 第20回

前回の自宅からお父様の刀剣やピストルが出てきた、70代過ぎの奥さま。登録の為警察に出向いたときのお話です。警察に行くと最初の対応は穏やかだったのですが、徐々に態度が変わっていき、テレビでしか見たことのない取調室に入れられてしまいました。動転する奥様に質問が(奥様の言い方では)浴びせられたそうです。「鉄砲刀剣不法所持」ということになるわけですが、奥様にしてみれば警察に届けに来たのに何で不法所持なのかと後に思われたそうですが、後の祭りであります。あくる日がまた大変で、実地検証とかでパトカー数台、警察官、それに普段見かけない警察車両まで来たそうです。供述書を書かされ終わった後、奥さまはショックの為入院されたそうです。

平安・鎌倉期の刀の姿の良さは群を抜いている!

刀は武器であるが故、過去3回災難に遭っています。豊臣秀吉のいわゆる「刀狩」、明治時代の「廃刀令」、そして昭和の「鉄砲刀剣類所持等取締法」です。

刀は国宝、重要文化財に指定されているものがあります。また一方では鉄工芸の美術品として世界の人々から称賛され、見る人の目によっては忌み嫌われる武器として見られ、誠に不思議な鉄工芸品と言えましょう。

いつの時代の物でしたか、貴族が刀を鑑賞している絵巻物を見たことがあります。刀を単なる武器として考えるなら、このような古画は存在しないはずですがどうでしょう?刀用語に「優美典雅な姿」という言葉があります。

私はよく歌舞伎を鑑賞しますが、玉三郎などのその立ち姿の何と美しいことか。惚れ惚れして観ていますが、やはり刀も同じで、平安・鎌倉期の刀の姿の良さは群を抜いております。

現在、刀女子というのが流行っているらしく、博物館には10代の女性たちが刀の展示の前に群がっております。その見方ですが、今まで私たちが見るのと違った方法で鑑賞(?)しているようです。思わず「こうして見れば、もっと地肌も刃文もよく見えるよ」と言いましたら、「すごーい」と言われました。言わなきゃよかったと後悔しましたが、後の祭りです。

ことのほか刀の評価は難しく、興味のある人と無い人の差が有りすぎて、一言でその美は語れません。余談になりますが、40年前の話です。今でも不思議と思える思い出があります。美術品は持つ人によって、又はその価格によって良くも悪くも見えるお話です。

師である村上孝介先生が「このお刀は!!」と言って取られた瞬間、今まで大した刀と思っていなかったものが、見る見るうちに素晴らしい刀に変身して目に映りました。そしてお話の後見直してみると、手離したくないぐらいの名刀に見えました。

今にして思えば、千利休などが認めた茶器を大名たちが争って手に入れたのも、このような事であったかもしれません。しかしながら審美眼のある人が、「これは良いもの」と言ったものは、やはり佳品と思うのも正直なところです

いつの頃でしょうか、ドイツのゾーリンゲンという刃物の会社が、かなり日本刀を研究したそうです。結果出来た製品は、刀とはおよそ違った製品に至ったという話を聞いたことがあります。ただ、ドイツには熱狂的な愛刀家が多いそうです

あすみ苑のホームページ

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<プロフィール>
古美術などの買取・販売の「あすみ苑」代表。鹿児島県出身。40代半ばで骨董業界に入り、現在は書画を中心に事業展開をしている。刀剣の鑑定は20代の頃より行っており、約50年のキャリアの持ち主。千葉県千葉市内のあすみ苑内にはギャラリーがあり、2ヵ月に1度書画目録なども発行するなど精力的に活動している。

413号(2017/04/10発行)7面

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