キャリーオン、ポイント買取で会員4万人を囲い込み

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キャリーオン、ポイント買取で会員4万人を囲い込み

2019年10月19日

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ポイント買取で会員4万人を囲い込み

吉澤健仁 社長キャリーオン 吉澤健仁社長

ネット専門で子供服の買取販売サービスを展開するのがキャリーオン(東京都港区)だ。エコキッズAKIRAが倒産する等、リサイクル子供服の業態は厳しい見方をされる中、同社は会員を囲い込むという独自のビジネスモデルで成長を加速させている。吉澤健仁社長に聞いた。

現金で買い取らない
ポイントで囲い込み

--子供服の買取販売をされているそうですが、特徴は。

吉澤 会員を囲ってコミュニティ化している点です。通常の中古事業者だと買って終わり、販売して終わりだと思うんですが、子供服の場合はお子さんが小さい間はずっと使い続けてもらえると考えました。子供は毎年体が大きくなるので、服は確実にサイズアウトします。また意外に子供服は高いので、安く買いたいニーズがあります。

--どのようにしてユーザーを囲い込んでいるのですか。

吉澤 現金で買い取らず、ポイントで買い取っています。これを使って、新しい子供服が買えます。サイズアウトした子供服を売ると、ワンサイズ上の子供服を手に入れることができるわけです。子供服はすぐに着れなくなるため、我々のサービスで売り買いを習慣化させることができるのです。一度そのサイクルに入れば使い続けて頂けます。

--しかし、いずれは子供服も要らなくなりポイントの使い道に困りませんか。

吉澤 その場合は、アマゾンギフト券や図書カードに交換もできますので、そちらを選択されます。

--売って得たポイントで新しい服に交換するとなると会社に現金が入りませんよね。

吉澤 例えば、10着売って得たポイントで4着買えるとすると、6着残りますよね。これをネットで現金販売しています。服は出さないが、買いたいという人もいます。会員の半分がそっち側の方ですね。

--なるほど。買取はどのようにやっていますか。

吉澤 段ボール1箱に商品を詰めて送って頂きます。1箱最低送付点数は変わっていますが、最近は20点です。1箱の査定結果をお伝えして、オールオアナッシングでダメなら全部返します。

--グロスで査定しているわけですか。

吉澤 違います。査定は1点ずつ行っていますが、明細は出していません。これとこれは返して欲しいという話になるので、明細を伝えていないのは、オペレーションの簡素化の側面が強いですかね。基本的には不用品なので、99.5%買取れています。

--売上や会員数が伸びているそうですね。

吉澤 会員は4万人に伸びてきており、この1年で3倍に増加しました。売上は公開していないんですが、前年比2〜3倍で伸びています。

--フリマアプリで子供服を売っている方も多いですが、影響はないんですか。

吉澤 ニーズが異なると思っています。フリマアプリを利用される方は、1点1点写真を撮るのが苦にならないのでしょう。時間が惜しくなく、楽しんでいる方かと。また、ポイントで買い取るため、現金ニーズがある人はうちには向いていません。そこは最初から割り切っています。我々はコミュニティとして囲っていますので、比較検討されないのが強みだと思います。

1時間に100着撮影
1着の撮影は2枚だけ

--子供服は低単価なため、ネットで売るのは大変かと思いますが。

吉澤 1点単価は1000円弱で、1回の注文単価が約4000円です。普通の中古ECではササゲの労力に合わないですね。

--御社はどうやっているのですか。

吉澤 テクノロジーを使って効率化させています。これまでに約50万点の査定データがあります。これを使って査定を自動化しています。査定員による属人的な価格設定ではなく、ブランド名等の情報を入力すると、査定価格が算出されるようになっています。また、うちでは1時間に100着の商品撮影を行っています。

--100着とはスゴイ数ですね。

吉澤 自社で開発した専用の撮影台を使っています。1着の撮影も2枚しか撮りません。服の表と裏、これだけです。子供服はこれでいいんです。

--ずいぶん少ないですね。

吉澤 子供服の場合、使用者と購入者が違うのでこれでいいんです。自分の服を買う場合はちょっとサイズに違和感があると嫌ですけど、子供のはちょっと大きめの服を買っておけば大丈夫という感覚です。ですから、着丈が何センチとかいった採寸もやっていないんです。通常の中古アパレルの会社ではまずこんな発想はないと思っています。レディースの写真が2枚では売れないですし、通常の会社が子供服をやろうとして他の商品と同じラインに乗せると、コストが合わなくなるのです。普通にやったら合わない中で、試行錯誤数年間やってやっとたどり着きました。ここは苦労したところです。

進研ゼミを服でやろうとしている感じ

--新品事業者何社かと連携されているそうですね。

吉澤 子供服メーカーからよくお声がけを頂くようになっています。中古事業者ではなかなかない動きだと思っています。メーカーの余剰在庫を会員向けに販売しています。通常の店舗販売だったり、どこに売っているか不透明なのと違って、当社の場合は販売先の顔が見えているので、安心して頂いています。また、ナルミヤ・インターナショナルさんとはCSR活動として、服の回収ボックスを設置し、回収後をうちが担っています。また、アダストリアさんのレンタルサービスに子供服を提供したり、業者卸もやっています。

--今後の展開は。

吉澤 これまで会員の子供服しか扱っていませんでしたが、同じサイト内でレディースファッションの取扱いを始めました。あくまで子供服がメインのためそこを崩すつもりはありませんが。その他、オリジナルブランドの商品の販売も始めています。また、今後、ベビーカーやチャイルドシートを扱う予定があります。

--会員はどれぐらいまで伸ばせると見ていますか。

吉澤 50万人がマックスかなと。年間の出生数が100万人を切っており、対象の人口が500万人いないので、それ以上はとれません。その内の1割くらいかなと。しっかりとした属性を囲い込んでいれば、もっと横展開していけます。進研ゼミがやっているようなことをうちは、服でやろうとしている感じですかね。制服とかユニフォームとかピアノとか子供関連の中古っていっぱいありますからね。顧客さえ囲い込んでいれば、属性がはっきりしているので、横展開しやすい。
保険、住宅、学習教材、ウォーターサーバー等この層にアプローチしたい会社はたくさんあり、サービスの拡張性が高いと感じています。うちは子供服の中古屋さんという見方もできますが、ファミリー層向けのデータビジネスという見方もできると思っています。
ただ、世の中に必要とされる、育児を楽しく便利にしたいというのが我々の理念なので育児に関わることをやっていきます。

●会社データ
商  号:株式会社キャリーオン
オフィス:東京都港区白金台5-3-6白金台セントラルビル2F
設  立:2013年5月
資 本 金:1億3200万円(資本準備金含む)
業務内容:子供服のソーシャルクローゼット「キャリーオン」の運営

●社長プロフィール
1981年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。大学卒業後、資生堂に入社、化粧品の販売業務に従事。その後、WEBサイトの企画・制作・プロモーションを行うエスト株式会社を創業し、代表取締役に就任。WEBサービスの立ち上げ支援、ECビジネスのコンサルティングなどに従事。2013年5月キャリーオンを設立。

第473号(2019/10/10発行)9面

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