《皮革製品修復ラボ(33)》アッパー層にはホスピタリティー

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《皮革製品修復ラボ(33)》アッパー層にはホスピタリティー

2015年12月15日

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皮革製品 修復ラボLesson.33 外商ルート狙え

なぜ3分間で100万円売上げたのか?

3分間で100万円。これは、私が先日売り上げた時間と金額だ。

前回の連載でも述べたように、美靴工房は修理の依頼件数が急増している。その中でも『外商』経由の商品がこの1年で増加した。さて、この外商だが、毎日メーカーやブランドから3分間のプレゼンを次々に受けている。それを見て、顧客にどの商品を持って行って紹介するか決めるのだ。

私も先日、この3分間プレゼンに参加した。

「外商の皆さんが売ったブランドバッグや靴を、メンテナンスして再生するサービスを行います」と話すと、皆関心を持ってくれた。

外商にとって「売る」以外に「メンテナンス」サービスを提供することは、お客さんとの絆づくりになる。3分間のプレゼンでこれに賛同してくれた外商が、100万円分の修理依頼をもたらしてくれたというのが冒頭の種明かしだ。

外商担当者の数はどのくらい居るかご存知だろうか。23区のとある大きな百貨店には100人在籍していた。私がプレゼンでお会いした数だけでも、すでに300人を超える。これだけ の担当者が世帯年収2000万~3000万円以上の家に出向き、何千万円もの商品を販売してい る。そしてこれが、買い取られることなく眠っているのだ。

そろそろ「売るプロ」たちも、「売りっぱなしでは限界がある」と思いはじめている。売った後には修理の需要が出てくるし、当然要らなくなった時には買取りの需要も出てくる。

例えば、合計100万円の絵画と宝石を売ろうとすると、時にはまた売り込みでしょう?とうんざりされることもある。「いえいえ、ご不要なものをお引き取りしようと思いまして」と言えば、すっと心に入っていくのは想像にかたくない。

そこで時計と宝石を50万円で買い取れば、差し引き50万円でお客さんは新しい商品を購入できることになる。全員がWINWINだ。

外商のお客さん--殊に45歳以上のお客さんは、サービスやホスピタリティーを受けたいと感じている層だ。売りっぱなしの外商よりも、売った後に商品のことを気にかけて修理や引き取り(買取り) まで手厚くカバーしてくれる外商の方が好まく感じる。私自身も元々ブランドショップで販売していたことがある。トップセールスマンが常に売上額トップなのは、メンテ・修理知識が豊富でいつも顧客から頼られるからだ。トヨタディーラーのトップセールスマンにも同じ話を聞いた。高額商品を誰から買うか、その決め手が実は売る以外の中に潜んでいる。とすれば、修理や買取業者は外商が組む相手としてぴったりに思える。

お付き合い先のブランドリサイクル店や質店から、「商品不足」という話を聞く。

それは、アッパー層から買い取れていないからではないか。セレブの世界では「型落ち=ゴミ」かもれしれないが、所変わり価値観が変われば人気商品に変わることもある。世帯年収600万円以下を対象に、ぐるぐる商品をまわしているだけだと限界がくる。

外商ルートでアッパー層からの買取りに風穴を開ければどうだろう。

こっそりここだけで言おう。

「俺は、とにかく商品がたくさんあるのを見たよ。ここに手を伸ばしてみたらどうだろう」。

川口 明人氏≪筆者 Profile≫ 川口 明人氏

1960年、神奈川県生まれ。根っからの靴、バッグ好き。大学卒業後ヨーロッパに渡りフランスのシューズブランドに就職。帰国後は婦人靴ブランドのマネージャー、ブランドバッグ販売責任者、婦人靴メーカー商品企画・製造責任者などを歴任。皮革製品修復の「美靴工房」立ち上げに参画。現在は同社の専務取締役として女性修復師チームを率い数多くのメゾンブランドから指名を受ける。メディアにも度々取上げられており、質店・ブランドリサイクル店にとっては駆け込み寺的存在。

381号(2015/12/10発行)9面

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