《皮革製品修復ラボ(43)》レザーとあわせて百貨店で提案

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《皮革製品修復ラボ(43)》レザーとあわせて百貨店で提案

2016年12月25日

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皮革製品 修復ラボLesson.43 衣類のメンテ

高級衣料のクリーニング

製品のお直し・メンテナンスで百貨店に出店を行っていることを連載で話してきたが、次の展開がスタートした。

靴やバッグのお直しカウンターの横で、高級スーツやダウン、プレタポルテのクリーニングをダブルカウンターでやってほしいとオファーを受け、スタートしたのだ。 全国の高級クリーニング師(百貨店やブランド指定職人) と組んでやっている。

当社はレザー専門でやってきたが、そのやり方作業を公開し、1点1点手作業で丁寧に仕上げるを踏襲すれば、高級衣料のクリーニングも百貨店ではまるかもしれない。市場性があるなら、拡大したらいいと思っている。今後どうなるか、その入り口に立っているところだ。

対象となるのは、10万円以上のセーターや、30万円以上のフルオーダーのスーツ、8万円以上のダウンジャケットなど。例えばイタリア製のニットなどは、適当なクリーニングに出すと石油で色落ちしてしまう。専門クリーニング店で処理すると料金が3000円~5000円かかるが、需要があるのではないだろうか。

百貨店が衣料メンテのカウンターも設けてほしいと言うのは、これまでそういう商品をたくさん顧客に販売してきたからだ。今度はそれを改修しましょうというわけだ。特に外商担当者は良い商品を売ってきている。この連載でも、外商に革製品のメンテナンスを提案してもらっている話は何度かしたが、今度はこれに衣類も追加されるかもしれない。

顧客宅に出向ける用事、気軽に出向ける仕事ならやるべきと考える担当者が少しずつ出始めている。もちろん外商の全員が全員、メンテナンスやクリーニングに賛成なわけではない。中には「5000円~3万円のクリーニングのために行くの?それよりも宝石や絵画や時計 を売りたい」と言われることもある。

話していて分かったが、外商には大きく分けて2タイプがある。1つは、高いものをとにかく売りたい人。もう1つは、顧客の役に立つことで絆をつくりながら、売る人。この後者の役立ちタイプが頭角を現わしていると思う。彼ら曰く、ライフスタイルに必要なら低単価のものでも提案するというのが方針だそう。高価なものを販売したら、その元がとれるようにお手伝いする。そうして絆づくり、関係作りを行いながら商品を売っていく。

「そうでないと、外商がただの出張販売になってしまう」と言うのだ。単なる売り子ではなく顧客のコンシェルジュとなるには、メンテナンスがピッタリだ。

知人の車のトップセールスマンは、顧客宅の近くを通った時に寄って、ボンネットをあけて見せてもらうのだと言う。「チェックしたけどどこも問題ありませんね。安心して使ってください」「ラジエーターホースを念のために替えておきましょう」などと客宅を訪問し、確認をしてあげれば「次に買う時もこの人に」となる。「ぼくは商品としての車のスペックはもちろんだが、とりわけメンテナンスに強いのが最大の販売における武器」と言っていた。

実際、高級時計の修理、オーバーホールや家具のメンテなどは職人やメーカーと提携して外商が昔からすでに対応している。実力認定済みの高級バッグ、衣類のクリーニングやメンテナンス業者はこれからますます足りなくなるかもしれない。

川口 明人氏
≪筆者 Profile≫ 川口 明人氏

1960年、神奈川県生まれ。根っからの靴、バッグ好き。大学卒業後ヨーロッパに渡りフランスのシューズブランドに就職。帰国後は婦人靴ブランドのマネージャー、ブランドバッグ販売責任者、婦人靴メーカー商品企画・製造責任者などを歴任。皮革製品修復の「美靴工房」立ち上げに参画。現在は同社の専務取締役として女性修復師チームを率い数多くのメゾンブランドから指名を受ける。メディアにも度々取上げられており、質店・ブランドリサイクル店にとっては駆け込み寺的存在。

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406号(2016/12/25発行)5面

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