《皮革製品修復ラボ(45)》お直しは富裕層との接点に

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《皮革製品修復ラボ(45)》お直しは富裕層との接点に

2017年04月14日

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皮革製品 修復ラボLesson.45 自動車のお直し

ダメージを受ける高級車のシート

前回の連載では、革製品のお直しの対象は、バッグや靴に留まらないという文脈で、ソファのメンテナンスについてお話した。

私は、ソファのような「座りもの」には高いポテンシャルがあると思っている。そこでソファに続いて今回お話しするのは、「車」だ。

ベンツやフェラーリなど高級車のシートは、革張り。そのため、実は美靴工房にもメンテナンス依頼がある。

座る時に繰り返す摩擦による劣化、色焼け、タバコを落とした焦げ、飲み物をこぼしたことによる汚れ、おう吐物まで----。高級車のシートはダメージを受ける場面がたくさんあるのだ(ちなみに、座りものではないがステアリングも剥がれたりヒビが入ったり、汚れがついたりしやすい)。

車体が美しくても、シートが劣化すると車の価値はドカンと下がる。だから高級車のオーナーが直接店に持ち込んでくる。車種としては、ポルシェ、フェラーリ、ベンツ、アルファロメオ、ランドクルーザー、レンジローバーなど。

カーディーラーや中古車店はあまり、お直しに対応していないようだ。

ただしリクエストは多いようで、ある外車の正規中古部門から常駐してもらえないかと打診をもらったことがある。中古車を300万円で売りたいのに、椅子が劣化していると内装が減点になり、230万円でしか売れなくなってしまうことがあるそう。

触るところや座るところの状態に人間は敏感だ。中古車は買うが、いかにも「中古中古」しているのは嫌なのだ。

革製品をメンテナンスできる技術力があれば、中古車店に営業をかけることもできるし、何より私が思ったのは、高級車のオーナーはブランド品も持っているということだ。

リユース店や質店とのお付き合いが多いので色々と話を聞くが、富裕層になかなかリーチできないというのが課題のひとつとなっている。

富裕層は、リサイクルショップにブランド品を売ろうという発想がない。だからどんなに「買い取ります」「高価買取」と直球を投げたところで関係が無い話題だと思っている。

しかし、自分の資産をしっかりメンテナンスすることには関心を持っている。だから、靴やバッグのお直しが接点になるというのは、何度もこの連載でお話ししている通りだ。

高級車でも同じことが言えると思う。革製品修理の技術を提供し、そこを接点にすれば埋蔵されている要らなくなったブランド品の買取りにつなげることができるのではないだろうか。

実際に、買取りをしていない当店には、メンテナンスをしたお客様から、買取もしてもらえないかという依頼がたくさん入る。

要は接点を持てば、先方のニーズとこちらのチャンスを結びつける可能性が現れる。なにしろ出塁すると作戦は広がる。

川口 明人氏
≪筆者 Profile≫ 川口 明人氏

1960年、神奈川県生まれ。根っからの靴、バッグ好き。大学卒業後ヨーロッパに渡りフランスのシューズブランドに就職。帰国後は婦人靴ブランドのマネージャー、ブランドバッグ販売責任者、婦人靴メーカー商品企画・製造責任者などを歴任。皮革製品修復の「美靴工房」立ち上げに参画。現在は同社の専務取締役として女性修復師チームを率い数多くのメゾンブランドから指名を受ける。メディアにも度々取上げられており、質店・ブランドリサイクル店にとっては駆け込み寺的存在。

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413号(2017/04/10発行)5面

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