《携帯&スマホAtoZ 第76回》下取端末の流通制限は独占禁止法上問題

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《携帯&スマホAtoZ 第76回》下取端末の流通制限は独占禁止法上問題

2018年08月25日

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第76回 下取端末の流通制限は独占禁止法上問題

総務省が開催した「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」(詳細は本コラム71回 ~74回をご覧下さい)と同じタイミングで、公正取引委員会では、「携帯電話分野に関する意見交換会」が4月13日から開催されていました。この会の報告書が公表されましたのでご紹介します。

中古端末の流通に公正取引委員会も注目
下取端末の流通制限は独占禁止法上問題

まず開催要領の確認から公正取引委員会のHPによると、趣旨は以下の通りです。

公正取引委員会はMVNOの新規参入の促進等の観点から、平成28年8月に「携帯電話市場における競争政策上の課題について」(以下「一昨年の報告書」という)を公表した。

携帯電話市場は競争環境の変化が速い市場であることから、公正取引委員会は一昨年の報告書の公表以降に、どのような競争環境の変化があったのか、また、新たな競争政策上の課題は生じているかについてフォローアップを行い、競争政策上の考え方を整理することとした。

そこで、有識者及び関係者から意見を聴取するため、経済取引局長主催の「携帯電話分野に関する意見交換会」(以下「意見交換会」という)を開催する。
公正取引委員会は有識者及び関係者の意見を参考に報告書を取りまとめる。

本意見交換会は5月29日まで3回行われ 、私も傍聴してきました。
6月28日には 、報告書が公表され、中古端末関連ではSIMロックと中古端末の流通について記述されていました。
報告書の中の「競争政策上の考え方」には下記のような記載があり、中古事業者にとってはプラスに捉えられる内容になっています。

MNO(移動体通信事業者)が下取りした端末を販売する場合、国内で中古端末を販売する特定の事業者に対して販売しない又は著しく不利な条件で販売するといった行為等についても独占禁止法上問題となり得る(取引拒絶、差別取扱い等)。
特に、MNOの端末下取りプログラムを利用する消費者が多い場合に、下取りした端末の国内市場への販売を制限したり、国内で中古端末を販売する特定の事業者に対して販売しない又は著しく不利な条件で販売したりするときには独占禁止法上問題となりやすい。
(概要:https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/jun/chousei/180628ga.pdf
報告書:https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/jun/chousei/180628houkokusyo.pdf)

総務省が開催した「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」、公正取引委員会「携帯電話分野に関する意見交換会」の両会ともに、中古市場形成発展につながるような内容になっています。
次回は、この流れに沿った形で立ち上げられた新しい検討会についてお伝えします。

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第445号(2018/08/10発行)15面

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