「海外の2次流通」Vol.19、Sell my stuff(セル マイ スタッフ)、オープンハウス形式で不用品を委託販売

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「海外の2次流通」Vol.19、Sell my stuff(セル マイ スタッフ)、オープンハウス形式で不用品を委託販売

2019年02月06日

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家と不用品販売のワンストップショップ
オープンハウス形式で不用品を委託販売

Sell my stuff(セル マイ スタッフ)

sell my stuff.jpg▲物販セール中の家の前で並ぶ人々。セールの様子はホームページに動画でアップされている

祖母の不用品処分の経験から起業
不動産の経験と家業の融合思いつく

Sell my stuff(セル マイ スタッフ)は2009年に創業した家とその中にある物の委託販売を手がけるワンストップショップだ。本部はトロントにあるが、フランチャイズ方式でオタワ、カルガリーなどカナダの主要都市で展開している。また、委託販売の実店舗経営や家具とアクセサリーのレンタルも行っている。

同社は不動産や物販の売却価格から35%を手数料としてとっている。不用品除去のみのサービスの場合、最低375ドルから引き受ける。創業者兼社長のJosh Horowitz(ジョシュ・ホロヴィッツ)氏が同社を創業したのは、個人的な経験がきっかけだった。彼は大学卒業後、コンドミニアム開発事業に携わっていたが、翌年の景気後退で職を失った。その頃、祖父が老人ホームに入ることになり、祖母は小さな家に引っ越すことになった。

ホロヴィッツ氏は新居に収まらない家具などの処分を手助けしたが、kijiji、Craigslistsといった既存のサービスを利用してもはかどらず、1ヵ月以上の時間がかかった。その経験から「高齢者はより良いサービスを必要としている 」と気づき、Sell my stufを立ち上げた。実は中古品の販売は曾祖母の時代からホロヴィッツ家の家業であった。ホロヴィッツ氏はそれまで経験した不動産販売と家業を融合させることを思いついたのだ。リサイクルショップとの違いは、オープンハウス形式で物を家の中に置いたままの 状態で売ることだ 。例えば「12月15日、午前9時から午後2時 、オンタリオ州の○○」でセールがあると同社のホームページに事前予告がアップされる。それを見て興味をもった人がその家を訪問するのだ。

オープンハウス方式で家の中の物を販売
主な顧客はベビーブーマーとその両親世代

「我々が手がけた最大のプロジェクトは広さ500坪余り、10億円以上の家でした。販売の準備に1週間をかけましたが、家の中のものすべてを1日で売り切りました」とホロヴィッツ氏。そのほか、オンラインショップでも物販を行っている。同社の成功の要因は2つある。一つはカナダは家が広いことだ。建物の平均面積は約70坪で 、部屋数は4部屋。一般的に暮らしは質素だが、大きな家に住んでいれば物も大量にあるのだ。

もう一つはカナダの人口の約3分の1が退職を控えたベビーブーマーだということだ。彼らとその両親は生活を縮小する必要に迫られているが、大量の物を自力で処分するのは困難だ。同社は、そのブルーオーシャン市場を開拓したのだ。

第456号(2019/01/25発行)17面

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