《着物リサイクル春夏秋冬》第226回 リノベ着物中村屋

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《着物リサイクル春夏秋冬》第226回 リノベ着物中村屋

2019年07月06日

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中古着物を販売する
たんす屋社長の中村健一氏が、自社の取り組みなどから中古着物業界について切る、本紙連載企画「着物春夏秋冬」。
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         ▲東京山喜 (店名・たんす屋) 中村 健一 社長

1954年9月京都生まれ。77年 カリフォルニア州立大学ロングビーチ校留学、79年 慶応義塾大学卒業。同年東京山喜入社、87年 取締役京都支店長、91年 常務、93年 社長に就任、今に至る。

※たんす屋Facebookはこちら

大量にある袷の着物を仕立替え
リノベ着物で在庫のアンバランスを解消

「リノベ着物中村屋」を企画している。既に昨年から「メンズ着物中村屋」をスタートしているが、リユース着物たんす屋にとって今後最も重要な施策がリノベ着物だと考えている。

リノベとは、当然ながら今マンション業界で大人気のリノベーションだ。従来のリフォームと違い、大胆に間取りから水回り内装を一新して、今の流行りモノ物件にドラスティックに変える手法である。

18P-あ.jpg▲リノベ着物のコーディネート写真

今までは価格を下げて購入促す

今までは、たんす屋ではご家庭から買取ってきた着物や帯を綺麗に丸洗して、殺菌、抗菌、消臭、プレス加工して、更に検針し、その後、着物のコンディションと加工と色柄を見極め、値入れをしてきた。

例えば、この色無地はコンディションが良く寸法もあるが、色が昭和の流行り色なので、1万円を付ける。すぐに売れれば良いが、1年間売れない場合には30%オフの7000円に、2年間売れない場合には50%オフの5000円に、3年間売れない場合に70%オフの3000円に、4年間売れない場合には90%オフの1000円に、それでも売れない場合には切り刻んでハギレにして、一枚100円で売っている。

当然ながらほとんどの場合には、そこまでディスカウントしなくても売れていくわけだが、従来のたんす屋の考え方は、お客様が着物をその価格で気に入って頂けない場合は、「もう少し安くしますのでいかがでしょうか」「まだお気に召さない場合は更にお安くしますのでいかがでしょうか」と言った感じに、着物を変えずに価格を下げて購入を促す手法だった。

たんす屋を立ち上げて10年から15年程は、ある程度この方法が機能していた。しかし、ここ数年間どうもこの方法がお客様に通用しなくなってきたと感じてきた。

築40年の古いマンションを綺麗にクリーニングして売りに出す。売れない場合には値引きで対応する、こんな感じである。しかし今は、築40年のマンションをいくら綺麗にクリーニングしても容易に買い手は付かない。今のお客様に合った間取り、最新のトイレ、システムキッチン、広いお風呂、お洒落な内装にお金をかけてリノベしないと売れないのと同じである。

派手な昭和色をシックな令和色に

リノベ対象になる着物は主に色無地、小紋、紬だ。たんす屋のリユース着物の多くは30年から45年前、着物が最もよく売れた時代の商材である。

リノベ着物のポイントは3つある。一つ目は寸法。リノベ着物の身丈は最低でも160センチで、裄丈は66センチ以上。理想的な寸法は身丈163センチ、裄丈68センチである。2つ目は色目。言葉では表現が難しいが、一言で言えば昭和色を令和色に変えることである。昭和色の特徴は、嫁入に持っていける派手な色でピンクやオレンジ、クリーム色。令和色はお洒落でシックな色だ。

3つ目が極め付けであるが、袷の着物を、単衣の着物と胴抜きの着物に仕立て変えることである。着物には、本来袷の着物、単衣の着物、夏着物の3種類がある。袷の着物は、着物の表地に、胴裏と八掛という裏地をつけて仕立てる。単衣の着物は、裏地をつけずに仕立てる。夏着物は、着物の生地自体が絽や、紗、上布や縮みのように薄物素材で裏地をつけずに仕立てる。

本来着物には季節ごとにルールがあって、10月から5月の8ヵ月間は袷の着物、6月と9月の2ヵ月間が単衣の着物、7月と8月の2ヵ月間が夏着物といった具合である。しかしここ数十年で日本の季節が大きく変わってきた。年間300日は、着物で過ごしている私の場合は、11月から4月の6ヵ月間が袷の着物、5、6月、9、10月の4ヵ月間が単衣の着物、7月と8月の2ヵ月間が夏着物である。更に、実際はマフラーをしたくなるような防寒の時期、つまり12月から3月の4ヵ月間が袷の着物で11月と4月は胴抜きの着物を着ている。胴抜きの着物は胴裏を付けずに八掛だけで仕立てる。見た目は袷の着物であるが半分袷、半分単衣の着物だ。

在庫点数比袷着物が87%

一方でたんす屋のリユース着物の在庫点数の比率だが、調査の結果なんと袷の着物が87%、単衣の着物が9%、夏着物が4%だった。

今の季節感に合わせるならば袷の着物と単衣の着物がそれぞれ33・3%、夏着物と胴抜きの着物がそれぞれ16・7%であるべきだ。夏着物は絽の生地を発注して織り、小紋や訪問着を染めて作っている。それでも不足する部分は、ポリエステル素材の洗える着物で対応している。

最大の問題は、大量にある袷のリユース着物と、圧倒的に不足している単衣の着物である。更に今まではモデル仕立と言って一般には普及していなかった胴抜きの着物を定着させることだ。

今後たんす屋は「リノベ着物中村屋」で在庫の極端なアンバランスの解消と、リユース着物最大の弱点である寸法問題の解決、昭和色のリユース着物の令和色への染め替えで、新たな売筋着物創りを強力に推進して行きたいと願っているが、いかがだろうか。

 

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第466号(2019/06/25発行)16面

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