《トップINTER VIEW》ゴードン・ブラザーズ・ジャパン 田中 健二社長、経営を改善するBIツールを開発

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《トップINTER VIEW》ゴードン・ブラザーズ・ジャパン 田中 健二社長、経営を改善するBIツールを開発

2019年08月19日

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ゴードン・ブラザーズ・ジャパン田中社長へのインタビュー
小売業の経営改善ツールの提供へ
ツールが経営判断、「在庫を高回転で回せるように」

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リユース業界の再編にらみM&Aの受け皿に

07-01.jpg▲ゴードン・ブラザーズ・ジャパン 田中 健二社長

在庫の価値評価を武器に小売・流通業の余剰在庫の削減、動産を担保にした融資(ABL)等を手掛けるのが、2006年に米国から来たゴードン・ブラザーズ・ジャパン(東京都千代田区)だ。リユース業界の再編をにらみ、ファイナンスを含めた支援や経営改善を図るツールを提供すると言う。田中健二社長に聞いた。

--新品小売業等から余剰在庫を減らしたいという要望が増えているそうですね。

田中 昨年末までの累計で450社、換価上代価格で1,900億円を扱ってきました。卸や小売業の閉店や改装セール、製造業や機械設備業の工場閉鎖など、企業のリストラクチャリング時にお手伝いさせて頂いています。昨年実績では、前期比47%増の約260億円(上代換算)の扱い高になりました。今期も大型の案件があり、5割増はいくんじゃないかと思います。

--余剰在庫を減らすのにどういった手法があるのでしょう。

田中 弊社で在庫を買い取るという手法以外に、販売をお手伝いし手数料だけ頂くケース、クライアントの在庫をお借りし、当社の販路で販売する消化仕入れ方式の3つの手法があります。

--引き合いが増えているのはなぜでしょう。

田中 アマゾンを始めとしたEコマース拡大の影響でみんな売れなくなって、滞留在庫が増えています。ブランド品やアパレル、雑貨、最近ではホームセンターグッズとか紳士服、ありとあらゆる商材ですね。世の中ではモノがすごく余っていますからね。

--二次流通等に滞留在庫を流すことを以前、否定的な企業も多かったと思いますが、その辺りの意識は変わってきていますか。

田中 以前よりも判断が早くなってきていると思います。新品企業も自分たちで相場が分かってきたので、早く新古品で流した方がいいとか、今のトレンドの内に処分した方が、次のサイクルを回せるのが分かるようになってきています。これは、市場が構造化されてきて、新品、新古品、中古品、CtoCまで値段が見えるようになってきたためと考えられます。メルカリの影響で、お客さんの認識として、例えばブランドのスーツだったら、中古ならいくら、程度悪かったらこれくらいという認識が段々出来上がってきています。

M&A資金を相手先在庫担保に調達も

--余剰在庫の削減以外にも事業を行われていますが、どんな依頼が増えていますか。

田中 動産を評価するだけの業務も行っているのですが、この依頼が増えています。M&Aの際に資産の価値を時価でちゃんとシビアに見るようになってきたためです。以前は、会計士が簿価で適当に評価していたのをもっと詳細を見る。デューデリジェンスの際に我々に評価依頼が来るケースが増えています。

--動産を評価してこれを担保に融資をされるABL(動産担保融資)事業も行ってますよね。リユース企業が買取の資金調達で利用しているとか。

田中 そうですね。仕入れ資金として貸し出すケースが多かったです。最近は、買収の時に相手先の中古ブランドの在庫を担保にして買収資金を借りるという動きが出始めています。我々が一番動産を正確に評価できると思っているので、一番高い評価を出せると思っています。

--リユース業界でもM&Aが増えています、そんな手法があるのですね。

田中 リユース業界は今後業界再編が起きていくと見ていますので、我々はM&Aの受け皿になりたいと考えています。ABLを使った買収資金の提供だけでなく、ファンドのように当社が一度保有して、在庫や財務等を綺麗にして適切な会社に渡すこともできます。また、以前に中古ブランドの銀蔵さんをお手伝いさせて頂いたことがあるように、保有し続ける方法もあると思います。リユース企業と弊社は親和性が高いので、実業に入りノウハウを溜めたりしてもいいと考えています。事業承継の際、個人保証が外れない等いろいろお悩みをお持ちの経営者の方がいらっしゃる中で、ファイナンスを含めてお手伝いができると考えています。

迅速な経営判断できるBIツールを開発

--確かにリユース企業の中には在庫や借入が多く、悩んでいる会社も多いと聞きます。

田中 独自で経営の改善を図りたいという企業に対しては、いい商品がありますよ。

--なんですか。

田中 当社で在庫を適正化するツール「BI powered by GB」を5月の末に発売しました。これは、企業の在庫や売上データ等の主要な指標をダッシュボード上で見える化します。分析や計算が要らなくなり、判断だけすればよくなるので、経営判断が早くできるようになります。

--もう少し詳しく話してもらえますか。

田中 簡単に言うとPOSとかのデータをここに投げ込むと、自動的に分析してくれて経営判断に活かせる情報がすぐに分かると言うものです。CRMで有名なセールスフォースがBIの会社を約1.7兆円で買収したことで話題になり、BIは今非常に注目されています。我々は、小売り流通業向けに開発しました。ベンチマークしている指標が良くなっているのか、悪くなっているのかが瞬時に分かります。在庫の売れ筋や死に筋が分かるので、適切な手を早く打つことができるのです。将来的には、過去のデータを入れると、フォーキャスト(将来予測)もできるようになる予定です。

--まだ発売して間もないですが、実績は。

田中 売上30億円規模の老舗模型メーカーで京商という会社があり、出資先でもあるので導入したところ、在庫が半減して、倉庫代も浮くなど大きく改善しました。この会社は、展開商品数が1万6,000点と多品種に渡るため、在庫管理が煩雑で把握や管理に膨大な時間やコストがかかっており、適正な管理が難しく滞留在庫が増加傾向だったんです。

--リユース企業だとどんな使い方ができますか。

田中 例えば、ブランドバッグの流行り廃り等の需要予測や利幅の薄い時計をどう回すかベンチマークした指標を修正するだけでも収益インパクトがあると思います。今までバイヤーの勘に任せっきりにしていたのを、グッと良くできると思います。

--確かに商品によって、赤字で損切りするケースが多々あるようです。

田中 在庫が多いと借入も多いので、もっと高回転で回せるようにする。売れ筋、死に筋をもっと早く理解することで、変な仕入れを減らし、借入を減らすことにつなげることができるのです。まずはぜひこれを使ってもらって改善につなげてもらいたいですね。


●会社データ
会 社 名:株式会社ゴードン・ブラザーズ・ジャパン
所 在 地:〒101-0047 東京都千代田区内神田1-1-14 日立鎌倉橋ビル7階
事業内容:バリュエーション(在庫評価 ) リストラクチャリングサポート(在庫換価)ファイナンス&インベストメント(融資・出資)
資 本 金:1,747百万円(準備金を含む)※2019年3月時点
設  立:2006年7月
主要株主:Gordon Brothers Group LLC. /株式会社日本政策投資銀行

●社長プロフィール
1992年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。主にローンストラクチャー業務に従事。2003年フェニックス・キャピタル株式会社入社。2005年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。戦略投資部において様々なストラクチャーの投資案件を多数手掛け、流通小売業からサービス業、製造業まで幅広いセクターを担当。2011年きずなキャピタルパートナーズ株式会社入社。日本企業の中国進出支援に特化、最高投資責任者を務める。2013年ゴードン・ブラザーズ・ジャパン代表取締役に就任。一般社団法人日本資産評価士協会理事

第469号(2019/08/10発行)9面

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