リステージ、オフィス家具のネット古物市を運営

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リステージ、オフィス家具のネット古物市を運営

2019年11月18日

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関西進出、他商材の中古モールも計画

高鉾龍 社長リステージ 高鉾龍社長

オフィス家具のネット型古物市場「リアルネットオークション」を手掛けるリステージ(東京都中央区)。毎週の平均出来高は1600万円まで上り、成長を見せている。今後はリアル市場の関西進出や、既存のネットオークションモールを、オフィス家具に限らず商材拡充していく考えだ。

--業界参入のきっかけは骨董だそうで。

高鉾 高校中退し地元富山で大工をしていました。父が地元で骨董店をやっていて、東京でも商売していた。父が体を悪くしたことをきっかけに、自分が25歳のときに東京で手伝ってくれと言われて。それで骨董市に行きました。見よう見まねで、僕もハイエースで田舎の家を回って骨董を買い取っていました。1ヵ月経つ頃には荷が集まるようになり、東京の市場に持っていっていました。気づいたら1年でリサイクル品も集まっていて。次は田舎じゃなく都心だと思って、タウンページから中間処分場に片っ端から電話を。そのときに、中間処分場で所長をやっていた方に大手の商社さんを紹介してもらいました。

--オークション発足のきっかけは。

高鉾 うちはずっと、買い取ったものを市場で売るという完全買取専門業者でした。商社さんと取引してからは、1つの市場に持っていっても、例えば週4トン20台分入れますって言ったら、もう大騒ぎ。台数制限されるくらいどうしようもない状況になって。もう自分で市場やるしかなかった。それが2012年のときです。

--直販をするという考えには。

高鉾 買取専門の当社の荷物が評価される1つが、売れ筋のものがたくさんあるというところで。売れ筋のものだけ売って、余ったものを市場に持っていくというのは選択肢になかった。良いものも悪いものも市場で売るからこそ、バラエティーがあって楽しいです。

--市場発足当初は、どんな感じでしたか。

高鉾 仲の良い業者さん2社だけに言ってスタートを。今のネット型オークションの前身になる、手競りの形式です。当時商品の9割超は自社のもの。やっていくうちに口コミが広がって、4年で160社ぐらいまで膨れました。出来高は最初200万円ちょっと。みんなオフィス家具って厄介だと思っていて、4トン3台分でも出来高50万とか。一般家庭向け商材だと4トン3台で多分200万円以上あるかと。割に合わない商材なんですが、うちは商社さんからの案件を一生懸命やることだけを考えてきました。

毎週金曜4時間で1万品をネットで競る

--ネット型に切り替えた経緯は。

高鉾 ネット型にする前から毎週出来高1000万円以上をキープしていて、調子はすごく良かった。だけど天候の影響で業者が来ないとか、あとは、いつも大量の現金を持ってみんな来るんですが、それを何とかしたいなと。システムは1年近くかけてつくりました。ネット型をスタートしたのが2016年。今は八潮市八條にある780坪の倉庫でやっています。物量は1回平均1万品超あります。約半分が自社の在庫。平均出来高は1回1600万ぐらいで、250社ぐらい今登録者がいます。

--ネットでどうやって競るのですか。

高鉾 自動音声の下、画面上で2レーンで競っています。入札ボタンがあり、カーソルを合わせてカチャカチャやるだけ。250円刻みで上がっていきます。10人がクリックしたら、10個分上がっちゃうんじゃないかと思うんですが、その一瞬一瞬で制御されるので、速い人のが採用されます。あえてうちは、商品をランダムに競っています。だからみんな、かじりつきになっちゃいますね。4時間ぐらいで終わります。

--反響は。

高鉾 最初は、ネットでやったら失敗するからって言う人たちがすごく多かった。だけど、もう何か弾みをつけていかないと調子が落ちちゃう気持ちしかなかったですね。うちは一切現金の取引もないし速く終わる。会場まで来る必要もない。働き方改革に一役買っているわけです。

--商品の管理は。

高鉾 例えば欠損部分は売り手さんに書いてもらう。あとの評価は我々でやることで平均的な査定ができる。我々が専用のカメラアプリを使って撮影すると、自動的にオークションサーバーに取り込まれるようになっています。うちの良さは誰が売ったか買ったか、分からないようにしているところ。あとは、当日参加できない人は事前入札もできます。最低落札金額の設定もできる上、売れなかったらスクラップにするとか持ち帰るとか、予め決められます。

--今後オークションはどこまではスケールできそうですか。

高鉾 関東の市場で1週間会員さんたちが買える金額は、実はほぼ決まっている。うちの1回の出来高が1000万〜1800万とすると、会員さんたちの購買金額ってこの間。なので次は関西で市場をつくろうかと。

--関西ですか。

高鉾 まずは自社で現地で買い取ったものを、今提携している神戸の市場に持っていきます。その後、自社でリアル市場を立ち上げたいなと。関西に出て3ヵ月目ですが、1週間で4トン7~8台の物量を集められるようになりました。

中古需要は増す
品質制度もつくりたい

--業界の景況感は今どうでしょう。

高鉾 ますます需要は増してきています。なるべく家具はリユースしなさいという経産省からの御達しがありますしね。一般家庭向け家具とオフィス家具の決定的な違いは、会社で働く人たちにとってその家具は自分のものじゃないというところですね。中古だからとか、少し汚れているから嫌っていう概念がそんなにないですから。

--今中古オフィスと什器の業界団体としてJAFRAの活動もされていますね。

高鉾 団体では、例えば講習会をしっかりと開くとかやっています。あとは、大きな法人さんから処分の相談を受けることもありますし、大企業の移転で、加盟業者で仕事を分け合うこともしていますね。

--団体の中でまた新たな取り組みとかは。

高鉾 商品の品質認定制度を考えています。各業者さん、ECサイトで独自に評価しているんですが、統一されたものはない。例えばこの業者さんはABCでランク付けを、こっちの業者は、いい・普通・悪いの分け方になっているとか。団体ではやがて、JAFRA認定マークのある会社はちゃんと我々の評価制度に沿ってやっていますとか、やっていきたいです。

--今後の展望を聞かせてください。

高鉾 当社のネットオークションを、リユースオークションモールというのに進化させようとしています。今は毎週金曜だけ競るので、例えば月曜は衣料、火曜は一般家庭品、水曜は厨房とかまだまだ余地がある。どこかと提携し、うちのシステムでやっていいと思っています。全リユース業者さんがこのオークションに参加し、仕入れに困らないとか、そういう存在になれたらと思います。

●会社概要
社   名 株式会社リステージ
本社所在地 東京都中央区新川1-6-11ニューリバータワー11F
設   立 2009年8月20日
代表取締役 高鉾龍
資 本 金 525万円
事 業 内 容  ・リユース品の買取、販売
      ・古物市場運営
      ・ 廃棄物に関わるコンサルティング業務

●社長プロフィール
高鉾龍(たかほこつよし)。1977年生まれ、富山県出身。26歳の時に買取専門業者としてリユース業を始める。2009年に株式会社リステージを創業し、2012年に埼玉県三郷市で中古オフィス家具を中心とした古物市場運営を始める(2015年埼玉県八潮市に移転)。2016年10月、古物市場を電子化したリアルネットオークションをスタート。2017年に中古オフィス家具業者を中心とした協会、JAFRA(一般社団法人日本什器備品リユース協会)を設立

第475号(2019/11/10発行)9面

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