BuySell Technologies、コンプライアンス徹底で隠れ資産にアクセス

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BuySell Technologies、コンプライアンス徹底で隠れ資産にアクセス

2020年02月03日

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コンプラ徹底で隠れ資産にアクセス

岩田匡平 社長BuySell Technologies 岩田匡平社長

着物出張買取で成長し年商120億円強を上げる『BuySell Technologies(東京都新宿区)』昨年12月に東証マザーズに上場した。岩田匡平社長は、売買契約締結時の電話フォローなどコンプライアンス徹底により年20万件の個人宅出張実績を上げている同社にこそ、家庭に眠る"隠れ資産37兆円"へのアクセスチャンスがあると睨む。

--出張買取に着眼した背景は何ですか。

岩田 出張買取の特徴は、お客様にとって持ち運びがしにくい商材や大量の物の整理や売却などのニーズを充足してあげられることです。我々は年間で全国20万件ぐらいのご自宅に伺っています。今顕在化されている中古市場は2兆円ですが、メルカリさんや経産省によると隠れ資産は37兆円あるようです。皆そこにアクセスしたいはずなんですが、アクセスできるのは、20万件のご自宅に上がり家の中に何があるかを目視している我々だと思っています。

--現場でいろいろと物を見るわけですね。

岩田 商談時間は平均1時間〜1時間半程度です。すると、お客様の物への関与度や温度感がわかってきます。例えば毛皮が飾ってあるとします。「素敵な毛皮ですね」と聞くと、「旦那からプレゼントでもらった」とか、「5年で1回しか着てないわ」などと話が進んでいきます。こちらが、「もし良かったら査定だけでも」と聞けば、「旦那からもらったものだから、売る気なんかないのよ」と返ってきたりもします。その物に対するヒストリーとか、なぜ売りたくないのかを僕らは細かくメモをとります。スイートスポットは、間違いなく店舗でなくご自宅での買取りだと思っています。

現場の査定員任せで売買契約締結させない

--世の中では押し買い問題もありました。御社が上手くやってこられた優位性は。

岩田 出張買取の会社さんはいくつもありますが、我々の強みはホスピタリティ、サービス精神、コンプライアンスの3つを徹底していることなんです。

買取オペレーションの中には、決裁コールとフォローコールというのがあります。決裁コールは、査定員がお客様との密室空間で売買契約を締結させないために設けています。決裁コール担当者とお客様が電話でつながり、そこで初めて売買契約を締結できます。フォローコールというのは、査定員がご自宅を出た後に、必ずもう1回お客様に電話します。査定員の前だと言いにくいこともありますよね。電話の中では、本当に後悔ないですか?とか、それこそ、押し買いはなかったですか?とかを聞きます。トラブルや事故は起こるものと思って、現時点でのパーフェクトなオペレーションを我々は東証に提案し、認めて頂きました。1件2万5000円程度の買取りかもしれないですが、それは保険契約や不動産契約など、人生における重大な買い物と同等レベルだろうと。我々がどこまで使命を感じてやっているのかの現れです。

ECや催事で小売強化粗利益が成長

--買取顧客の75%が50代以上のようですね。宣伝はTVCMがメインですか。

岩田 TVCM、新聞、ポスティング、ラジオ、折込チラシ、雑誌などマス領域全般を使います。プラスでデジタルメディア、デジタルマーケティングという感じでミックスです。買取りの依頼は、あらゆるプロモーションからのインバウンドが100%です。

--実際に買取りに出向く割合は。

岩田 訪問に至るまでは70%ぐらいです。対応は基本全国ですが、離島や山間部に住むお客様には、宅配買取をご案内するケースもありますので。地方各地には、一時的に出張拠点となるような場所をいくつか設けています。査定員はそこに3週間ぐらい滞在しながら近辺を回ります。

--KPIには、「出張訪問数」×「出張訪問あたり変動利益」を設定されていますね。なぜ変動利益を。

岩田 我々買取りの事業者は、売上が出てくるのって何ヵ月後とかになりますよね。そこをKPIに置いていると、多分経営できないんじゃないかと思っています。

一訪問あたりの粗利益と、一訪問するためにいくら広告費をかけるか、この差分が当然大きいほど利益が高いので、その利益を最大化させ、また、訪問数を最大化させて掛け算すると捉えています。この差分を伸ばしてきた中で、前期はおおよそ3万2000円が水準でした。どこまでブランド型のCMに投資し差分利益を潰していくのかとか、それとも、利益が出ないくらいまでの水準まで潰れそうになったら、コスパのいい媒体に切り替え、差分利益をもう1回上げていこうかとか、ここはある程度コントローラブルです。

--前期着地では、粗利が約66%のようですね。ここが上がっている要因は。

岩田 それまでは100%toBでしたが、最近は自社ECなどでのネット販売や、中国向けEC、百貨店での着物の催事販売などtoCを伸ばしました。現在toCが全体の10%まで上がってきています。売上の商材構成比は非開示ですが、現状まだまだ小売できるものも古物市場などで売ってしまっている状況です。僕らは着物で有名なんだと思いますし、本当に着物も多く買い取って売り上げも立っていますが、ブランド品やジュエリー類など資産性の高いものは全般買い取っています。お客様ですら資産性に気付いてないものはありますから、我々がそれをテーブルに上げてもらって、少しでもお金の足しになるんだったらと、買取りを促すことが重要です。

メルカリと対をなすサービス目指す

--今後M&Aは。

岩田 上場企業になりましたので勿論それも醍醐味です。今我々は出張訪問という業態で、シニア層に対して課題解決が得意なプレイヤーと思われていると思います。今後ありとあらゆる人の課題解決ができるような取り組みには、是非ともと考えています。

--当面の目標は。

岩田 2019年頭からの5年間でユニコーン化させることが目標です。二次流通プラットフォームは今、メルカリさん一強という状態だと思うので、メルカリさんと対をなす選択肢に、バイセルがなっているという状態を2023年までにつくりたいです。そのためには、時価総額で最低1000億のラインまでに、企業価値を成長させておくことが重要です。営業利益で50億前後まで行くと、時価総額で1000億という世界観に来ると思います。まさに、株価も利益も今の水準の5倍ぐらいの水準まで、5年で成長させるというトリプル5です。


会社概要
社 名  株式会社BuySell Technologies
設 立  2001年1月16日
事業内容 ネット型リユース事業
本 社  東京都新宿区四谷4-28-8PALTビル8F
資本金  11億4066万1400円(資本準備金を含む)
従業員数 739名(2020年1月現在)
売上高  128億円(2019年12月期予想)

社長プロフィール
岩田匡平(いわた・きょうへい)。
東京大学工学部システム創成学科卒。株式会社博報堂を経てマーケティングコンサルティング等を提供するOWL株式会社(現・株式会社AViC)を2014年に創業し代表取締役就任。ベンチャー企業を中心とした急成長企業のマーケティング活動を幅広く支援。2016年6月より同社のコンサルティングを開始し、2016年10月に取締役として同社に参画。リユース事業全体を管掌し、2017年9月に同社代表取締役社長兼CEO就任。

第480号(2020/1/25発行)7面

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