遺品整理サービスへの参入企業急増、来たる多死社会に変化する業界を考察

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遺品整理サービスへの参入企業急増、来たる多死社会に変化する業界を考察

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近年、高齢化社会の進展に伴い、終活関連のサービスに進出する企業が増えている。その中でもこの数年で参入企業が急速に増えているのが遺品整理サービスだ。介護施設などの入居に伴う生前整理のニーズも拡大している。遺品整理サービスの歴史と現状、来たるべき多死社会に業界がどう変化していくかを考察してみた。

「遺品整理」が参入増

生前の需要、拾えるかがカギに

生前の需要、拾えるかがカギに

遺品整理という言葉は一般消費者に定着したように思えるが、遺品整理サービスの歴史はそれほど長くない。2000年、引越し業を営んでいた吉田太一氏が顧客の自宅に見積りに行った折、故人の遺品を前にして途方に暮れていた遺族に代わり、片付けを全て代行したのが始まりといわれている。吉田氏は02年10月に日本初の遺品整理専門会社キーパーズ(東京都大田区)を創業。その後、遺品整理のノンフィクション本や小説が出版され、テレビドラマや映画も放映されて、遺品整理サービスの存在が徐々に認知されるようになった。

この数年で協会の加盟業者数は5倍に

新しい業態が認知され、市場を形成するのに大きな役割を果たしたのが、11年11月に設立された一般社団法人遺品整理士認定協会(北海道札幌市)だ。同協会は法令に沿った廃棄物処理方法や遺品の取り扱い、遺品整理に関係する法律についての講義を行い、試験に合格した業者を遺品整理士として認定している。協会に加盟する業者数は15年2560社、20年1万541社、21年9月現在で1万2541社となり、この数年で約5倍に増えた。

17年にはライフルシニアと共同で遺品整理のポータルサイト「みんなの遺品整理」を立ち上げ、遺品整理士在籍の業者のみが登録している。但し、遺品整理士は民間資格で、資格がなくてもビジネスはできる。また、遺品整理士認定協会以外にも複数の協会があり、協会に所属していない業者も多く、実際に遺品整理サービスに従事する企業は2万社以上いると思われる。

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第520号(2021/9/25発行)17面

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