【Reuse×Tech Conference セミナーレポート】  世界の真贋動向を分析 今必要な偽造品対策とは_Entrupy(エントルピー)

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【Reuse×Tech Conference セミナーレポート】  世界の真贋動向を分析 今必要な偽造品対策とは_Entrupy(エントルピー)

2024年11月21日

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リユース業界最大級イベント「Reuse×Tech Conference for 2025」が10月2日・3日の2日間、東京・日本橋で開催された。10月2日G会場では、ブランドバッグ等のAI真贋鑑定アプリを展開する米国の企業、Entrupyからヴィデュース・スリニヴァサンCEO、エントルピージャパン合同会社の浅岡範子代表、同社のアイラ・レイエス氏、米国でリセールマーケットを運営するLePrixのエリース・ワンCEO、ブックオフコーポレーション(神奈川県相模原市)の山田雄康氏が登壇した。登壇内容をダイジェストで紹介する。

世界の真贋動向を分析 今必要な偽造品対策とは_ Entrupy セッションの1部にはアイラ・レイエス氏が登壇し、世界の偽造品と真贋動向をまとめた「STATE OF THE FAKE 2024」について解説した。 同レポートでは初めに、ラグジュアリー業界の真贋動向を4つに分類。その1つ目が、SDGsに関する取り組みの強化だ。グッチ・プラダ等の各ブランドで、環境への配慮をアピールしており、これがマーケティングツールとして機能している。

2つ目は、偽造品対策だ。各ブランドがRFIDやブロックチェーンの確立等を進め、政府機関等と取り組みを進めている。

3つ目に挙げられたのは、ヴィンテージトレンドだ。若者を中心にヴィンテージ品の購入が流行し、SNS等が買取販売に活用されている。

さらに4つ目の特徴がデザインの多様性だ。欧州発祥のブランドが、アフリカの伝統的なデザインなどを取り入れる動きが見られ、デザイン性に広がりが見られる。

基準外品で最も多いゴヤール シームレスな連携が対策には不可欠

次に、昨年と今年のレポートを比較。最も鑑定数が多かったのはルイ・ヴィトンで、2017年から首位を保持している。

基準外品の割合を比べると、昨年8.1%に対して今年は8.7%へ上昇していることが分かった。グローバルで基準外判定の割合が最も高かったブランドはゴヤールだ。日本においても同ブランドの割合が最も高く、前年度から1.4Pt上昇。これにはスーパーフェイクと呼ばれる偽造品の増加等が理由に挙げられる。

1部の最後には、偽造品の主な課題を「経済的・法的なブランドへのダメージ」「スケーラブルな監視・対策の難しさ」「消費者の安全性に対するリスク」に分類した。偽造品に使われている化学製品が健康被害を引き起こす可能性も指摘されており、業界を超えた協力体制の整備が急がれる。

商材とターゲットの多角化 中古品への抵抗感薄れる

2部では、ヴィデュース・スリニヴァサンCEOと浅岡代表、エリース・ワンCEO、山田雄康氏が参加し、セッションを繰り広げた。

冒頭では、リユース業界の世界的な動向と主要トピックスについて話題を展開。偽造品の質向上やM&A等によるパートナーシップの増加、若年層のヴィンテージ志向を取り上げた。エリース・ワンCEOは「Z世代は中古品に対する抵抗感が薄れている。またコロナ禍を機にSNSを活用したライブセリングが広がった」と補足した。

次に、日本のリユース業界について話題が転換。同氏は「ブックオフやセカンドストリートの米国進出は現地で歓迎されている。一方、ヴェスティエールの日本撤退から示されたように、商品がさまざまなプラットフォームで扱われ、差別化が図りづらい側面もある。マケプレごとに商品を仕分けするなど、戦略的な出店が効果的」とコメント。

さらに山田氏は「リユース参入企業が増えているため、トレカ等商材を増やし、集客の間口を広げている。またブランド品に鑑定書を付帯するなど、お客様が安心して利用できるよう取り組んでいる」と答えた。

フェイク品巧妙化の課題も Tech活用が鑑定の要

「日本の市場取引に期待すること」というテーマでは「日本は真贋基準の高さが特徴。とはいえ、AI技術と鑑定士のスキルのどちらが優れているかではなく、消費者が安心して購入できることが重要だと考える。その意味で、鑑定書は非常に有効」とヴィデュース・スリニヴァサンCEOが回答。

また真贋鑑定の課題について、エリース・ワンCEOは「真贋鑑定の方法を説明する動画が増えているが、これが偽造品製造の情報源にもなっている。テクノロジーの活用による鑑定技術の洗練が重要」と危機感を示した。

最後に浅岡代表から「鑑定書付帯のメリットをどう捉えるか」と質問が投げかけられた。これに対し、山田氏は「鑑定士とAI、2つの目で商品を確認することで、企業にとっても付加価値となるのでは」とコメント。エリース・ワンCEOは「米国は偽造品の量が多く、消費者も慎重になっている。海外で販売を行う際には、鑑定書がついている商品の価格を上げることで、差別化できる」と答えた。

さらにヴィデュース・スリニヴァサンCEOは「根本的には、消費者が何を求めているかが重要。消費者が不安を感じないよう、第三者が本物を証明していくことが大切。業界にとって、真贋そのものが懸念材料となることがないよう支援をしていきたい」とまとめた。

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