アパレルメーカー大手のオンワードホールディングス(東京都中央区)が、業界に先駆けて取り組んできた衣料品回収・リユース事業が大きな節目を迎えている。2009年に開始した「オンワード・グリーン・キャンペーン」では、昨年度の衣料品回収点数が過去最高の100万点を突破。30年度までに回収量を200万点まで拡大する方針だ。
30年度までに回収量2倍に
リーマンショックで集客減
自社製品回収が来店動機に
2014年に出店した「オンワード・リユースパーク」
この取組みが本格始動したのは2009年。世界的な金融危機、リーマンショックの煽りを受け、国内の消費が大きく冷え込んだ時期だ。来店客数が伸び悩む中、顧客との新たな接点を創出し、再び店舗に足を運んでもらうための施策として衣料品回収が発案された。最初は百貨店2ヵ所のみで回収をしていたが徐々に拡大し、百貨店の店舗では現在、約400店で回収している。
「単なる販売促進ではなく、自分たちが世に送り出した製品に最後まで責任を持つという強い信念が原点です」とサステナブル経営Div.長の山本卓司氏は語る。この「メーカーとしての責任」という理念は、事業の隅々にまで浸透している。回収された衣料品は、毛布や軍手へと加工される「リサイクル」、新たな製品に生まれ変わらせる「アップサイクル」、そして再び誰かの手に渡る「リユース」という3つのルートで、その価値を循環させている。
第613号(2025/08/10発行)21面