創業100年の質店を担う4代目 若手視点で次代につなぐ店づくり

検索

「次代を担う若手跡継ぎ」

創業100年の質店を担う4代目 若手視点で次代につなぐ店づくり

2025年10月29日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

次代を担う若手跡継ぎ

1925年に大阪の地で質店を構え、今年創業100年を迎えたタチバナ屋(大阪府東大阪市)。同店では「顔の見える質店」を目指し、積極的な情報発信を行う。今回は4代目として家業を継ぐ予定の橘和佐さんに、仕事の魅力や将来への思いを聞いた。

タチバナ屋 橘 和佐さん

タチバナ屋
橘 和佐さん

30歳。学生時代、将来やりたいことが見つからず悩んでいた時に、両親の勧めで宝石鑑定士(FGA)の資格を取得。勉強する中で鑑定の奥深さに魅力を感じる。その後、家業の経営を見据えて大手リユース店で3年間の勤務を経験。ブランドバッグや時計の知識を習得し、2021年に家業のタチバナ屋へ入社した。

試される目利きの力
お客の喜ぶ顔にやりがい

「お客様の表情が変わる瞬間が一番のやりがいです」。そう語るのは、創業100年を迎えたタチバナ屋の4代目跡継ぎ、橘和佐さん。質預かりと買取りを担いながら、日々目利きの腕を磨いている。「兄弟の中で末っ子の自分が家業を継ぐなんて、思ってもみなかった」という橘さんだが、「今では仕事の面白さを実感している」と話す。「質店には、資金繰りに困って訪れるお客様も多い。初めは切羽詰まった表情を見せていた方も、質入れ後にはホッとした表情に変わる。誰かの生活を支えるセーフティネットになれるのは、質店ならではの役割だと思います」。

同店では質預かりと買取りの比率が2:1で、質預かりに事業の主軸を置く。扱う商材は貴金属のほか、工具や楽器、過去にはヴィンテージのヘルメットを取り扱ったこともある。「質店は、入店のハードルが高いと感じる方も多いです。加えて、当店は競合の多い心斎橋エリアとも電車で1本の距離にある。その中で足を運んでくれるお客様には、誠実に向き合い、適正価格を提示したい」。鑑定業務の魅力は、唯一の正解がなく、その都度判断が求められること。「決定の連続で緊張感がありますが、目利きの腕が試されるので、飽きることがありません」。

有料会員登録で記事全文がお読みいただけます

第618号(2025/10/25発行)19面

Page top
閉じる