《皮革製品修復ラボ(17)》バッグライフのパートナーになる

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《皮革製品修復ラボ(17)》バッグライフのパートナーになる

2014年03月30日

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皮革製品 修復ラボLesson.17 バッグの健康診断

状態やダメージを一緒に確認しよう

中古のデメリットやリスクを逆手にとって、お客さんとコミュニケーションを深める方法がある。

中古のブランドバッグを売る場合、「商品の状態の確認はよろしかったですか?」「返品・交換はできませんがよろしいですか?」のくだりが必要だろう。この時お客さんは「大丈夫です」と答えるかもしれないが、内心ちょっと不安だったり「どこをどう見ればいいかよく分からない」というのが本音ではないだろうか。だったらむしろ「状態やダメージを一緒に確認いたしましょう」と、もっと踏み込めばいいのだ。

元来潔癖である日本人が中古バッグで嫌がる症状をチェックリストにまとめた。これを使いながら、まずは一緒に確認するところから始めよう。

次のステップとして、チェックがつかない項目は「ご要望があればこのキズは修復可能ですよ」「この汚れは除去可能ですよ」とすすめることもできる。方法は、チェックリストの下に処方箋としてまとめた。

お客さんに修復を依頼された場合は定評のあるメンテナンス業者にアウトソースするか、自社で技術を習得するか。いずれにせよ、お客さんとの関係を深めるだけでなく、メンテナンスで収益をあげることもできる方法もあわせて紹介する。

□うち袋のベタつきは大丈夫ですか?

処方箋
うち袋に使われているポリウレタンが加水分解で劣化している。加水分解しない素材のうち袋に張り替え、ブランドロゴやファスナーも元通りの位置に戻す。

□うち袋の匂いは気になりませんか?

匂いの原因で最も多いのは表面に見えていないカビ。素材の匂いと混ざって酸っぱい匂いがする。その他、バッグに入れていたものによって匂いは様々。

処方箋
日光消毒、光触媒や植物由来の消臭剤、オゾン殺菌などをつかって匂いを緩和する。匂いが少し気になる程度なら、お客さんに自宅でバッグをひっくり返して日光に当てるといいと教えてあげよう。ただし、いずれの方法でも動物の尿臭はとれにくいので注意。
メイク用品の匂いがすることも多い。上記の方法で緩和することもできるが、メイク用品や香水のような「いい匂い」は使っているうちに次第にとれていくケースが多い。

□型崩れはしていませんか?

左右対称になっているか、立つべきバッグがきちん立つか、持ち手などが伸びていないか一緒に確認する。

処方箋
水通しをして元通りのカタチになるようテンションをかけて乾燥させる。ダメージを与えない洗いや乾燥を用いる。ただし型崩れは直りにくい。
プラス1
ちなみに処方箋を使う場合は、一度お客さんにバッグを購入してもらうという選択肢もある。「修理やメンテナンスでどこまで手を加えていいか」という問題はまだ解決されていない。ブランドホルダー以外が手を加えたら本物と言えなくなる、というスタンスをとっているリユース店は、お客さんに所有権が移ってからメンテナンスだけ受注するというやり方をとるのも一案だ。

ほかの中古業態ではすでに、こうした手法をつかって成功している事例が多い。例えば中古車ディーラーだ。車検や保険の面倒な手続き、オイル交換3回まで無料などとうたっている。メンテナンスの強さを訴求することで「じゃあ買おうか」のクロージングを後押しする。車にかかわる一切を面倒見てくれる、カーライフパートナーだ。しかしまだ、バッグライフパートナーたるリサイクルショップは存在していないように思う。

次回もバッグの健康診断を続ける。

川口 明人氏≪筆者 Profile≫ 川口 明人氏

1960年、神奈川県生まれ。根っからの靴、バッグ好き。大学卒業後ヨーロッパに渡りフランスのシューズブランドに就職。帰国後は婦人靴ブランドのマネージャー、ブランドバッグ販売責任者、婦人靴メーカー商品企画・製造責任者などを歴任。皮革製品修復の「美靴工房」立ち上げに参画。現在は同社の専務取締役として女性修復師チームを率い数多くのメゾンブランドから指名を受ける。メディアにも度々取上げられており、質店・ブランドリサイクル店にとっては駆け込み寺的存在。

340号(2014/03/25発行)6面

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