《ブランド市場バイヤーに学べ13》市場選べる時代に

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「ブランド市場バイヤー 齋藤清の俺に学べ!」

《ブランド市場バイヤーに学べ13》市場選べる時代に

2015年09月25日

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第13回 なぜ人気?古物市場ブームの理由

あんなに暑かった毎日がウソのように、世間は足早に秋へと移ろい始めていますね。慌ただしい上半期を終えて、10月から気持ち新たに「新しい市場へ参加してみよう!」と意気込む方もいらっしゃるのでは。とはいえ、近頃は「空前の古物市場ブーム」。以前、このコラムでも"古物市場の探し方、選び方"をお伝えしましたが、そうしないと迷ってしまうくらいに続々と新しい市場が増えてきています。なぜ、いま古物市場は増えているのでしょう。今回はこの辺りについて触れておきたいと思います。

市場選べる時代に

ブランド品に限っても、全国で1ヶ月に30~40回以上開催されている古物市場。昔は大きな市場は東京近郊に集中していましたが、今や開催地は全国津々浦々。その分、商材も全国に分散されていますから、各地をハシゴするバイヤーも 少なくありません。これほどまでに古物市場が増えた理由として、「リサイクル系のショップが増えていること」が挙げられると思います。近年、新しく発足した市場の中には、リサイクル系企業が立ち上げた市場が数多く存在します。

伝統ある質屋系の市場は(市場によっても異なりますが)、"一見さんお断り"といったように、新進のリサイクル系企業にとっては参加ハードルがやや高い場合があります。そうした背景から「他社の市場に参加するのではなく、自分たち で新しい市場を立ち上げよう」とする動きがここ数年加速化しているものと思われます。

何よりも、自分たちが主催する市場に、自社の商材を出品することで、歩銭などの手数料負担を負わずに現金化できるメリットがミソではないでしょうか。

また、市場を運営することで、自社スタッフの買取(相場) に対する意識が高まるとともに、相場の情報を発信していくことで、マーケットのリーダー的存在になれることもあるかと思われます。

会主側の背景ばかり述べましたが、もちろん参加者にとってもメリットがあります。新しい市場は、これまで伝統ある市場に参加していなかった(できなかった) 新進の企業や、実店舗を持たない企業に歓迎されたと思います。特に、実店 舗を持たずに販路をインターネット通販やヤフーオークションのみに頼っていた企業にとって、市場は「素早く現金化したいニーズ」を満たしてくれる取引の場となりえるからです。

さらに最近では、中国経済の影響によって「金」が不安定な相場となっていますね。こうした事態へのリスクヘッジとして、金やプラチナ等の貴金属の買取を専業としていた企業が、中古ブランド品の買取にも手を伸ばしています。新しい 市場は、こうした企業の受け皿にもなっているようです。

このように、ブランド買取りに取り組む企業が増えたことで、多くの市場ができました。その結果、市場は参加者が「選べる時代」になったことが、ここ数年の大きな変化と言えるでしょう。また、多くの参加者に支持されるために、市場のサービス面の向上に取り組むところも、数多く出てきています。

いま現在も、全国各地で新たな市場が産声を上げています。どの市場に参加するべきか迷ったら、こうした市場の成り立ちや背景を踏まえて考えると、より自分に合った市場が見つかるかもしれませんよ。

《ブランド市場バイヤーに学べ》齋藤清齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長

Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。

376号(2015/09/25発行)13面

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