《ブランド市場バイヤーに学べ25》組合せて判別し、コピー品を回避せよ

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「ブランド市場バイヤー 齋藤清の俺に学べ!」

《ブランド市場バイヤーに学べ25》組合せて判別し、コピー品を回避せよ

2016年09月25日

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第25回 モノと人、いま大切な2つの真贋

全国的に新興の古物市場やリサイクルショップが増えてリユース業界が活況を迎えている中、その波は企業や団体だけでなく、一般消費者にも波及しています。スマートフォンやSNS、アプリが普及したことで、個人間取引(C to C)が広がりを見せていますね。私たちのような専門業者を介さないWebオークションやフリマアプリも、手間や手数料を省いたコストメリットから、特に人気を集めているようです。

一方で、非対面の個人間取引ならではのリスクが「コピー品」の売買。悪意をもってコピー品を扱う売り手はもってのほかですが、コピー品とは知らずに購入して、それを別の場所に売ってしまっているケースも少なくないようです。個人間取引はもとより、専門業者であってもこうした落とし穴にハマる可能性は十分にあります。そうならないためにも、基本的な「モノ」と「人」の真贋(しんがん) を見定めることが大切です。

組合せて判別し、コピー品を回避せよ

私は市場と店頭、2つのバイヤー業務に携わっていますが、近年は以前に増してコピー品の流通が多くなったように感じます。一瞥しただけでは見極めにくいモノが増えているのも特徴です。腕時計に関していえば、定番モデルのコピー品が圧倒的に多い! (ブライトリングのクロノマット・エボリューションや、カルティエのパシャなど...) 流通量が多いモデルほど、モノの真贋に対する意識が散漫になりがちですから、むしろ特に注意して扱わないといけません。

また、最近はカルティエやティファニーといったブランドジュエリーのコピー品もよく見かけます。安価で人気のモデルから高価格帯のコレクションまで、コピー品の内容は千差万別です。一昔前は凝った造形のジュエリーのコピー品はあまり見かけなかったのですが、近頃は3Dプリンタの技術が用いられているモノもあるのだとか。...とまぁ、例を挙げればキリがありません。

こうした情報を常にキャッチアップしながら、目の前にあるモノを注意深く観察すること。そして、コピー品を見つけたら同じ業界のネットワークに広く共有すること。モノの真贋はともすればイタチごっこで終わりが見えませんが、少なくともこの2点を心掛ければ、コピー品の拡がりに歯止めをかけることはできるはず。

そして、さらに大切なことが「人の真贋」。例えば店頭に買取りの持ち込み依頼があれば、モノの真贋と同じくらいお客を見定めなければなりません。持ち込んだ品物がコピー品(あるいは盗品) で、お客に悪意があれば態度や言葉の端々に必ず不自然さがあるからです。私の経験上、そうしたお客の多くは自分が愛用している持ち物ではないがゆえに使い方や知識に乏しかったり、値段にこだわりが薄く「早く引き取ってほしい」と急かしてきたり。店頭の忙しさを狙って、開店直後や閉店ギリギリに来ることもありました。

モノだけでなく、こうした「人」の真贋を組み合わせて判別することで、コピー品の落とし穴を回避できると思います。

冒頭に触れたとおり、個人間取引はその便利さから急速な広がりを見せている一方で、コピー品にまつわるトラブルもつきものとなっています。「モノ」の真贋は、あるいはWeb上でも判別できるかもしれませんが、非対面のやりとりで「人」を見定めることは簡単ではありません。決して対岸の火事などではなく、リユース業界に身を置くものとして神経を尖らせている今日この頃です。

アールケイエンタープライズ 齋藤清齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長

Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。

400号(2016/09/25発行)17面

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