リユース経済新聞が独自にリユース市場規模の推計を行ったところ、2024年の市場規模は前年比4.5%増の3.3兆円となった。調査対象とした2009年以降15年連続で拡大。訪日観光客の増加に伴うインバウンド需要が追い風の一方で、フリマアプリ等のCtoC市場が微増に留まったのが影響し成長率は減速している。
15年連続の拡大で市場規模は3.3兆円
ファッション領域が1兆円規模に拡大
中古スマホ市場が初の1000億円超え
2024年のリユース市場規模は前年比4.5%増の3兆2628億円となった。2025年に3兆2500億円に達する本紙予測を1年前倒しした形。2009年以降15年連続での拡大となった。物価上昇が依然続き、新品よりも割安なリユース品への追い風は継続。加えて、訪日観光客は過去最高の3687万人とコロナ禍前を大幅に上回るまでに増加、インバウンド需要の増加の恩恵も受けている。
販路別では、店舗販売(BtoC)が好調を継続しており、前年比8.2%増の1兆2380億円に。ただ、ネット販売(BtoC)は同4.4%増と成長率が減速した。また、フリマアプリ等のネット販売(CtoC)は、同1.4%増となり、ネット販売の勢いが落ちている。特にCtoCの成長は鈍化の一途を辿っており、2025年は前年割れになってもおかしくない状況。2015年頃から市場の成長を牽引してきたが、転換期を迎えているようだ。
商材別では、昨年に続いてインバウンド需要の増加が追い風となった「ブランド品」が前年比15.7%増の4230億円に拡大。「衣料・服飾品」の6392億円と合わせたリユースファッション市場は、初めて1兆円を超えた形だ。また、「携帯・スマホ」も高い成長率を維持しており、同22.4%増の1059億円と1000億円規模に到達した。端末単価の上昇と販売台数の増加により、市場規模拡大が続いている。新品価格上昇に伴い、リユース品利用者の増加も見込まれている。トレーディングカードを含む「玩具・模型」は、同9.2%増の2779億円。主力のポケモンカードの相場下落の影響を受けたものの、全体的には好調を維持した。
不要な持ち物を売って換金したり、新品より割安な中古品を購入したりする消費スタイルは定着しつつある。経済的メリットを享受しながら、再利用という環境配慮を無理なく両立できるため、物価高が続き家計が圧迫されるなかで一層浸透してきた感がある。本紙の推計では2030年に4兆円規模に拡大すると予測をしているが、順風満帆とは言えない兆候が見られる。トランプ関税の発動や中国経済の悪化は、海外輸出やインバウンド消費を冷やしかねない。また、市場拡大のけん引役だったフリマアプリの成長鈍化は大きな懸念材料だ。今後もリユース市場が成長を続けるには一段の進化が必要になりそうだ。
第616号(2025/09/25発行)13面