《ブランド市場バイヤーに学べ21》こんなに違う西と東の競り文化

検索

「ブランド市場バイヤー 齋藤清の俺に学べ!」

《ブランド市場バイヤーに学べ21》こんなに違う西と東の競り文化

2016年05月25日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ブランド市場バイヤー 齋藤清の俺に学べ!

第21回 こんなに違う!西と東の競り文化

皆さんは競りに参加されたときに「文化の違い」を感じたことはありませんか。ところ変われば品変わる、とはよく言ったもので、地域によって競りの風習も違うことがあります。今回は、競り文化の違いについて触れてみましょう。

競り文化の違いは、主に関東と関西で大別されると思います。いつも本コラムでお伝えしているのは関東方式ですから、関西方式についてお話します。

西は1発勝負の「本ヤリ」方式

あらかじめお伝えしておくと、関西の競りはどちらかといえば「上級者向き」です。会場の雰囲気もピリッとした緊張感に包まれていて、市場初心者の方にはややハードルの高い場所。ですから、市場初心者の方にとって今すぐにどうこうというよりは、いつか関西の市場に興味を持たれた際の参考になれば幸いです。

まず、関西の市場が関東と大きく違うのは「一本ヤリ」方式であること。関東は発句から声の掛け合いで徐々に値段が競り上がる「競り上がり」方式が主流なのに対し、発句に対して皆が一斉に声を出して一番値段が高かった人が落札するのが一本ヤリです。指値が入った出品も少なく、スパスパと競りが進行していきます。

「マカリ」と呼ばれる一本ヤリ特有のユニークな慣習も。いわゆるオマケで、例えば周りに比べてズバ抜けて高い値段で落札したときなどに、落札値を少し安くしてもらえるのです。買い手にとってはうれしい慣習ですが、人によってオマケの幅が変わったり、売り手からすると安く売られてしまうわけですから、当然不満に感じる人も。最近は競り上がり方式を取り入れてルールを見直している関西の市場もあり、以前よりマカリは少なくなっているようですね。

また、とにかく競りの進行が早い!一本ヤリでどんどん流れていく上に、さらに「通し名」まで短縮されます。通し名とは、会主側が発声する買い手の名前のこと。競りの最中に発声する名前のため、競りのリズムを崩さないよう、区別がつく程度の略称で呼ばれます(例えば、アールケイエンタープライズ=アールケイなど)。

関西ではこの略し方に磨き(?) がかかり、例えば関東では略さず呼ばれそうな「ウエハラ」という買い手さんも、関西では「ハラ」とまで略されることも!一本ヤリや通し名の略し方から見るに、セッカチともいえるくらいテキパキと進むのが関西の市場の特徴といえそうです。

最後に、以前私が一番驚いたのは振り手のレベルの高さ。関東では大会形式の場合、「振り手」のほかに「発句」「通し」と、会主側の担当者が分かれていることが多いのですが、関西ではなんと振り手がすべての役割を一人で賄っていることも!相当の体力と正しい相場感、誰よりもその市場を把握していなければできない芸当ですから、圧巻の一言です。

独特の競り方式に加えて、振り手も買い手もハイレベルな人々が集う関西の市場。市場初心者の方にはハードルが高いかもしれませんが、ぜひ一度は見ていただきたいですね。

アールケイエンタープライズ 齋藤清齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長

Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。

392号(2016/05/25発行)17面

Page top
閉じる