《仕事ができる人の1日》高橋管楽器、店主 高橋 一朗さん

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《仕事ができる人の1日》高橋管楽器、店主 高橋 一朗さん

2018年08月01日

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~工房探訪編~

初代から受け継いだ道具で今も修理
日本初の管楽器個人修理店

高橋さん.jpg

高橋管楽器(東京都新宿区)
店主 高橋 一朗さん

70歳。中学生の頃から父・高橋治雄氏の工房を手伝いはじめ、高校卒業後本格的に職人の道に進む。28歳の時、跡を継ぎ、二代目店主となる。2010年1月には長年の功績が認められ、「新宿ものづくりマイスター・技の名匠」に認定された。

日本で初めて個人としての管楽器修理店を開いたのは、高橋一朗さんの父親・治雄さん。

戦後の楽器の少ない時代に修理の需要は多かった。

「父はすごい集中力の持ち主で3~4時間続けて修理ができました。私は父とは違い、時間をかけて修理をするタイプ。仕上げるための手順をちゃんと踏んでいく。効率よくやろうとは一切考えませんね」と高橋さん。 

全国から修理の依頼がくるが、サックスが一番多い。
他にクラリネットやその他の管楽器が持ち込まれる。
一般の愛好者、学生の他、プロの演奏者も訪れる。

これまでサイズのない部品は自分で作ったり、使い勝手がいいように道具も改良するなどなんでも手作りしてきた高橋さん。

「お客様に選んでいただいている理由は、これまでの経験と実績だと思います」と息子で三代目の大輔さんは話している。

工房.jpg

▲高橋管楽器の工房。右は三代目の高橋大輔さん

高橋一朗さんの七つ道具

▼⑦は「ベル」と言われるトランペットの朝顔状になっている部分を外から叩いて形を修理するもの ⑥は音孔を塞ぐタンポを接着する時に使用する道具

七つ道具の番号いり.jpg

▼①同じように見える2つのペンチだが、先が違う。左はものを挟む用で先をわざと潰している。右はピアノ線などをカットするもので先が鋭利になっている

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▼②傷つけたくないものを挟む時に使うペンチ。初代が一度分解し、先の内側をスプーン状に加工、再び組み立てた。初代から数えて80年以上使っている

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▼③日本製の手万力。使いやすく愛用しているが、このタイプは現在販売されていない。左写真の右側の手万力が現在販売されているタイプ

手万力2.jpg

▼④手万力に削れなくなったヤスリを加工して取り付け、ねじを回す道具を作った。錆びて回りにくくなったねじに使う。高橋さんの手作り

ネジまわし.jpg

▼⑤金管楽器の凹みを叩いて直すための金槌。楽器の表面に傷がつかないようにまるで鏡のように磨いてある。

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■【高橋管楽器】ホームページは、こちら

第444号(2018/07/25発行)12面

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