「海外の2次流通」Vol.17、Chegg(チェグ)、教育費削減を支援する教科書レンタル 現在は学習プラットフォームに成長

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「海外の2次流通」Vol.17、Chegg(チェグ)、教育費削減を支援する教科書レンタル 現在は学習プラットフォームに成長

2018年12月09日

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《アメリカ》教育費削減を支援する教科書レンタル
現在は学習プラットフォームに成長

Chegg(チェグ)

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▲1冊の教科書が苦学生を救うと謳っている

教科書代70~80%を削減
2017年の加入者は220万人

アメリカの大学の学費は日本と比較して高い。ハーバードやスタンフォードなどの名門私立になると、生活費も含め、卒業までに約2000万円かかると言われている。さらにに教科書も高く 、半年間に使う教科書代は約1000ドルという統計もある。Chegg(チェグ)はこうした状況を踏まえ、教育費を削減するサービスを学生向けに提供する学習プラットフォームのプロバイダだ。


教科書のレンタル・販売(印刷・デジタルの両方)を柱に、大学の奨学金のマッチング、選択すべき大学コースの情報提供、オンラインによる補習、インターンシップのマッチングなどを提供している。教科書の注文はウェブで出来る。書籍はオレンジ色の箱でUPSを使って郵送される。学期が終わると、学生は借りた本を同じ箱でCheggに送り返す仕組だ。


教科書のレンタル料金は書籍の仕入れ費用、人気、出版年、条件などに基づいて決められているが、平均で新品を購入する費用の70~80%を節約できる。Chegg社は2013年にニューヨーク証券取引所に株式公開を果たした。2017年の加入者数は220万人で前年比45%増。総純収益は255.1百万ドルだ。

Cheggは"chicken or egg"から命名
100億ドル市場だが競争も激しい

Cheggは2001年にオハイオ州立大学の3人の卒業生によって設立された。もともとはCheggpostという名前の自動車、自転車などの商品を売買する大学生向けのオンライン広告サービスを展開していたが、広告は儲からず、教科書レンタルの割合が70%を占めていた。そこで共同創業者たちはオンライン映画レンタルの先駆者Netflixを参考に 「教科書のNetflix」と銘打って"textbookflix.com"と改称。2007年に"Chegg.com"に変更した。


Cheggという名称は"a chicken or egg(ニワトリが先かタマゴが先か?)"から付けられた。「大学を出なければ良い仕事につけず 、お金がなければ大学に行けない」状況にある苦学生を支援したいという想いが込められている。アメリカの大学教科書市場は100億ドルと言われるが、難しさもある。教科書は頻繁にバージョンアップされるので、短期間しかレンタルできない。


また、競合には大手書店チェーンBarnes&Noble、eBay系列のHalf.comがあり、2012年にはAmazon.comも紙媒体の教科書レンタルに参入。売店で教科書のレンタルサービスを導入している大学もある。一方、急速に進む電子書籍化は、郵送料と仕入れのコストの削減につながり、収益アップの追い風になるだろう。

第452号(2018/11/25発行)19面

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