《トップINTER VIEW》東都クリエート 池田聡社長、カリスマ社長の後任に抜擢

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《トップINTER VIEW》東都クリエート 池田聡社長、カリスマ社長の後任に抜擢

2019年03月06日

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人口減の中、AR活用で会員獲得

9.jpg▲東都クリエート 池田聡社長

社長プロフィール
池田聡(いけだ・さとし)。1962年3月生まれ。東京都出身。慶應義塾大卒。信託銀行勤務を経て東都クリエートに入社し、2018年6月より現職。

東北地方を中心にブックオフFC店や独自の総合リユース業態「オーディン」、「エコ市場」を展開する東都クリエート(福島県福島市)。同社は人口減の影響で来客数が伸び悩む中、プレゼント企画連動のイベントやAR技術を駆使し、集客アップを図っている。昨年6月に新社長へ就任した池田聡氏に成長戦略を聞いた。

3年以内にネット販売率20%

-昨年、社長に就任されましたね。

池田 はい。当社は創業より現代表取締役会長の佐久間が引っ張ってきましたが、昨年6月に私が取締役社長に就きました。まさに"カリスマ"だった会長も今74歳で、後継の姿を模索していた。また時代も大きく変わってきていました。そんな中、管理本部長だった私が佐久間より直接指名を受け、社長を引き継ぎました。私は既存事業を含めた会社づくりのところを、会長は会社の先々のところを分担しています。


-現状のリユース市場についてどんな考えを。

池田 リユース業界で成長していくのも難しい時代に入ってきています。そこに対しての奇策は、正直ないと思っています。当社はこれまでリユース店舗事業を主体としてきましたが、今ある店舗を維持していくべきかというと、必ずしもそうではない。同じ地域にあれば統合するとか、インターネット併売を強化してみるとか、お客様のニーズを受けて変化が求められるでしょう。特に当社はネット対応がかなり遅れており、ネット販売率は今6%くらい。そこは、3年くらいで20%まで上げていきたいと思っています。


-EC率を20%まで上げるにはどのように。

池田 ネット出品で取扱う商材や量を少しずつ増やしていく。これまではヤフオク!やアマゾンを中心に、高額アパレルやブランド 品、メディア品に限定し出品していました。


-商材調達は店舗を通した個人からの買取りになりますか。

池田 そうですね...しかし東北を地盤としている当社としては、仙台市以外の地域は人口動態がなかなか厳しいものだと思っています。当社には全業態を合わせ60店ありますが、多いのは宮城と福島県内で全体の7割程にあたります。客単価はアップセルやクロスセル策でここ2年で10%程上がっているものの、客数は右下がりの状況にある。買取りと販売含め、地元に密着しどのように楽しんでもらいながら集客していけるかが非常に大事です。

ありがとうフェスタで売上昨年比118%

-店舗事業で注力していることは。

池田 例えば「ありがとうフェスタ」という店内イベント。1000円以上のお買い上げで、または1000円以上をお売り頂いた方に、プレゼント企画を打ち出しています。昨年秋に初めて開催し、その時は昨年比で118%の売上実績を上げました。プレゼントする商品は新品家電や雑貨、商品券など。これから取り扱っていきたいと思っているのが買取販売に注力したいアイテムの周辺グッズです。

例えばパッケージメディアを売って頂いた方には、Bluetooth関連の機器をプレゼントするなど。昨年は店舗を限定しありがとうフェスタを開催しましたが、今年は春・夏・秋と年3回、「オーディン」、「エコ市場」「ブックオフ」の全店で開催します。元々はオーディンならオーディン、ブックオフならブックオフというように業態別でサービスを作っていました。今は「1つの地域に対するお客様」と捉えており、1人のマネージャーが業態問わず見ていく体制を目指しています。そのほかにも、フェスタとフェスタの開催時期の間でAR(拡張現実)を使ったスタンプラリーなども仕掛けています。


-ARですか。

池田 ええ。元々はアナログ的に会員を集めていましたが、今はLINEやARを使った会員が増えています。お客様には、各店に置いてあるGPSと連動した画像をスマートフォンから読み込んでもらうんです。スタンプを5店舗分集めたらクーポンがもらえるとか、プレゼントが当たるようなイメージ。買取りも販売もボリュームゾーンとなる時期に波がある。そこを少しでも均していき、商品の回転を速めていくことを狙っているんです。ネット併売をするとなるとどうしても商品供給=買取の強化が必要ですから。


-御社の客層と、ARなどテクノロジーを使ったサービスとの相性というのは。

池田 主要客層は30代から50代の女性でしょうか。もちろんそれより高齢の方も、若い方も、男性もいらっしゃいます。今後60代のお客様のほとんどはスマホユーザーになっていくと思っています。
当社では「ECONAVI」というフリーペーパーを半年に1回、1.5万部発刊しています。そこにARを仕込んで、表紙をスマホで読み取ってもらうと会員となり、店舗情報を提供することができます。今はご家族の方が代わりにやってあげるというのがあるでしょうが、なるべくお客様にはスマホユーザーになってほしいという思いを盛り込んでいます。今は自社通販サイトやアプリはありませんが、ゆくゆくはそういったものを作り、幅広い年代の会員様をネットショッピングに送客していきたいです 。

都会住まいの子息から実家片付けの相談増

-御社はカンボジア進出など、リユース業界の中でも先駆けで市場開拓をしてきました。東北地方以外での事業展開は。

池田 まず国内ですが、当社の中に「東都サービス」という名称で、引越しや片付け、荷物の移動サービスを展開しています。今後この分野で首都圏と東北を結ぶ役割を担っていきたいです。最近は、首都圏に住む御子息様から、東北にある実家を片付けてほしいという相談がとても増えています。例えば実家に親一人しか住んでおらず、かなり高齢で片付けもままならないなど事情は様々です。

海外のリユース店舗事業は今、カンボジアに直営3店、共同店舗3店、ラオスとタイに共同店舗が2店ずつあります。各国には日本から古着や雑貨、子ども用品、食器、家具などを供給しています。海外に商品供給するにも物量の確保が大事。今後は同業者やメーカー、流通会社などと連携していきたいです。例えば在庫処分で苦労されている業者様もいますので、一緒に連携させて頂ければ、当社の海外事業も成長させていけると思います。

お客様はもちろん、ともに働く仲間という観点で最後は「人」です。時代に合った変化を求められる土台作りにおいても楽しい要素があれば何倍もの力を発揮できる。その辺りが肝になるでしょう。

会社データ
社名 東都クリエート株式会社
本社所在地 福島県福島市北矢野目字戸ノ内22-1
創業 1991年
代表取締役会長 佐久間 良治
取締役社長 池田 聡
資本金 5000万円
年商 39.4億円(2018年2月期)
事業内容 ブックオフや総合リユース「オーディン」などを展開

第458号(2019/02/25発行)9面

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