《トップINTER VIEW》ハードオフコーポレーション 山本 太郎副社長、二刀流からリアル店へシフト

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《トップINTER VIEW》ハードオフコーポレーション 山本 太郎副社長、二刀流からリアル店へシフト

2019年03月19日

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「地方の10万人都市に出店攻勢」

①.jpg▲ハードオフコーポレーション 山本 太郎副社長(次期社長)

次期社長プロフィール
山本太郎(やまもと たろう)。1980年新潟県生まれ。早稲田大学を卒業後、ファーストリテイリングを経て2007年にハードオフコーポレーション。常務などを経て2016年4月から副社長。2019年4月に社長就任。

ハードオフコーポレーション(新潟県新発田市)の社長が4月1日に交代する。新たに社長に就任するのは副社長を務めている山本太郎氏。創業社長からの交代は、同社がこの数年推進してきた「リアルとネットの二刀流」加速の象徴のように映る。しかし、山本太郎氏は実店舗の磨き上げに期待を寄せているという。その真意を探った。

原点回帰 リアル店強みと再認識

--4月1日から社長に就任されますね。創業社長から交代に至った経緯を教えてください。

山本 現在900近い店舗網を作ることができて、これからどうやっていくか。ネットだとか海外だとか、新しい切り口で物事を考えて変化に対応をしていく必要が時代とともに出てきた。新しいことへの挑戦という意味で今がタイミングなんじ ゃないか、ということで会長(山本善政氏)と話をしてこのタイミングに決まりました。

--この数年はリアルとネットを両方磨く「2刀流」を推進し、昨年には公式アプリやオムニチャネル戦略の「リンクチャネル」構想も発表されました。こうした取り組みを強化するのでしょうか。

山本 いえ、来期のことを色々考えるにあたって、改めて僕らの強みはリアル店舗だな、と。リアルを持っているっていうのがハードオフグループとしての強みだな、と。お客様の期待っていうのもそのリアルにあるな、という風に思っていて。来年以降はリアル店の方に力を入れていきたいと思っています。


--なぜそう思ったのでしょう。

山本 実際にネットをやってみての実感ですね。ネットの売り上げは伸びていますし、アプリ経由のオファー買取を始めてから、それまでの宅配買取の10倍くらいの商品が集まってきています。ですが、そこだけでハードオフらしさってものを出していくのは難しいと思いました。一方で、C2Cが出てきたことにより、リユースの裾野自体が広がっていると感じます。

それが我々にとってもプラスに働いている。社外で会う人に「リユースビジネスをしています」といっても伝わりやすくなりました(笑)。数年前だとC2Cとかネットの取引がメディアでも取り沙汰されて、「リアル店舗はダメなんじゃないか」「買取りがなくなっていくんじゃないか」という不安は社内外であったと思います。でも今はリアルでの買取りが戻ってきている。

これからもっと伸びていくイメージです。ネットだけで解決できないことは間違い無くあって、街からリアル店舗がなくなるということは考えにくい。そう考えると磨余地はまだある。特に一点モノの中古品は現物確認の需要は根強い。


--ネットに対応したのは失敗だったのでしょうか。

山本 真剣にネット対応を考えるいい機会になったし、その経験は今後活きてくると思います。でも冷静になって考えるとやっぱりリアル店舗ですね。じゃあ世の中リアル店舗がいっぱいある中でどう輝いていくのかを考えた時に、基本を大事にしようと。例えば一点一点商品を丁寧に査定する、リペアする技術、真贋とかもそうなのでしょうけど。まだまだ磨く余地がいっぱいあって、そこに注力していく。それがハードオフらしさだと思っ ています。

店舗ない都市に出店
ハードオフらしい店づくりを

--今期は出店ペースが落ちていますが、リアル店を強化するということは来期以降変わりそうですね。

山本 今期に関しては店舗開発の問題や人材など他の要素もあり出店が抑えられてしまいました。しかし、来期以降は人も積極的に採用して出店を以前のペースに戻していくつもりです。出店は少し考え方を変えます。近年は都市部の開発を行ってきましたが、人口10万~20万人くらいでまだハードオフがない地方の都市に積極的に出店していきたい。

本社のある新発田市がちょうど人口が10万人くらい。そこでしっかり利益が出ているのが一番のモデルケースです。この2、3年はリアルを抑えてネットを伸ばすという感じでしたが、リアルでも収益性の高い店は高い。

--ハードオフらしさというのはどのように見ていますか。

山本 フランチャイズビジネスというのが我々の強みです。その土地のことはその土地のオーナーや店長が一番詳しい。地域に根ざした商売をしていただいている。法人様によってお店の味付けが違ったりとかするところにお客様がわくわくしていただいていたりもするのです。

あと、我々は「商店経営者のDNA」って呼んでいるのですが、各店長は自分のお金だと思って店舗運営するとか、ローコストハイリターンのビジネスモデルとか。この数年こうしたハードオフらしさを生み出す基本が弱くなっていたんじゃないかという反省もあります。

--原点回帰するわけですね。そのDNAを復活させる施策は。

山本 施策というか、要は「人」ですよ。働く人が輝くイメージです。働く人が活き活きと働ける環境を作っていく。社内的な話になりますが、例えば近年はあれもやろうこれもやろうと、店長が本来するべきじゃない文書管理などの業務が増えて負担になっていました。店長は本来向き合うべきお店やお客に集中する、いわゆる経営のシンプル化を目指していきます。とにかくやめる。例えば全国の幹部30人でやっていたテレビ会議もやめました。あとは店長の本部に対する報告業務などの管理業務も簡略化するなど見直しを進めています。


--この1年間は海外に滞在されることが多かったと聞きました。

山本 4月から5月にカリフォルニア州のオレンジカウンティというところに新店舗オープンの目処がつきまして、直近はこの立ち上げ準備に取り掛かっていました。日本なら2ヵ月でオープンできるところが3~4倍近く時間がかかるなど、今後海外展開していく上で、商慣習とか注意しなければならないことを学びました。海外のCOOもいますので、4月以降は任せるところはしっかり任せていきます。

--社長就任後まず取り組んでいくことを聞かせてください。

山本 今期は海外に長く滞在していたこともあってお店回りできてなかった。だからまずは直営・フランチャイズ含め各店舗を回りたいですね。会議とかで話すことはもちろんありますが、そこでは本音を聞けない。だから「行って話す」。4月以降は日本にいることが圧倒的に増えるので。こちらで考えているビジョンとかを話したいですし、各店舗の意見を聞いていきたいと思っています。

会社データ
会社名 株式会社ハードオフコーポレーション
本社所在地 新潟県新発田市新栄町3丁目1番13号
設立 1972年7月
資本金 1,676百万円
上場市場 東証一部(銘柄コード・2674)
代表取締役会長兼社長 山本善政
売上高(直営) 185億円(2018年3月期)
売上高(直営・FC合計) 536億円(2018年3月期)

第459号(2019/03/10発行)7面

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